ディスカウンター先進国ドイツ、注目企業ネトーとペニーの戦略
欧州全体の食品・日用消耗品の2022年の年間売上総額は前年と比較して2.9%増加した(ユーロパネル調べ)。同時期、食品と日用消耗品の商品価格は同10.7%増加したが、消費者は商品を買い控える、プライベートブランド(PB)商品に切り替える、購入先をディスカウンターに乗り換えるといったことで生活防衛を図った。結果、売上総額は同2.9%増の低水準に収まったかたちだ。なお、ここでいうディスカウンターとは、限定的な品目を販売するディスカウント・スーパーマーケット(SM)を指す。
インフレを追い風にディスカウンターの業績は総じて好調だ。たとえば英国では、アルディ(Aldi)の23年8月6日までの12週間のマーケットシェアは対前年同期比10.2%だった。1年半前の22年1月23日からシェアを2.4ポイント(pt)上昇。リドル(Lidl)も同1.5ptシェアを伸ばした(カンター調べ)。
アルディとリドルの本拠地であるドイツは、両社以外にもディスカウンターのネトー(Netto Marken-Discount)、ペニー(Penny)、ノーマ(Norma)などを生み出した。そうしたディスカウンターの存在も手伝い、一般家庭の家計費に占める食費の割合は11.1%(22年)と欧州連合(EU)の平均15.9%と比べて5pt近くも低い。
今回はドイツ国民に安さを提供し続けるディスカウンターの中から、国内小売最大手のエデカ(Edeka)傘下のネトーと業界第2位であるレーヴェ(REWE)傘下のペニーの現状に焦点を当てる。
品質の維持・向上や環境対策にも注力
ネトーは
太田美和子のユーロトレンド の新着記事
-
2024/03/21
欧州で 再び 小商圏小型店の開発が進む理由とは -
2024/02/17
苦境に立つ欧州百貨店 手を差し伸べるタイのセントラルとは -
2024/01/20
英国でセインズベリーがアルディからシェアを奪取!その手法とは -
2023/12/06
ヨーロッパでも中華系EC が勢力拡大の理由と戦略 -
2023/11/06
経営資源を「そこに集中?」スペイン百貨店ECIの戦略とは -
2023/10/05
無人店舗も拡大中、CVS9000店を展開するポーランドの「ジャプカ」とは
この連載の一覧はこちら [40記事]
関連記事ランキング
- 2024-11-25ウォルマートをも打ち負かす! アメリカ最強スーパーを形づくる4つの条件とは
- 2024-12-11米国で「やせ薬」が大流行 メーカー、小売が受ける「大きな影響」とは
- 2024-11-25テキサス州だけで売上6兆円近く!最強スーパー、H-E-Bとは
- 2024-11-29米EV の総数は330万台、裕福なEVオーナーたちのお気に入りの小売店は?
- 2024-11-25グルメスーパーの代表ウェグマンズ 最強をつくる4つの特徴
- 2024-11-15クシュタールのセブン買収提案は米国内でどう報じられているのか、在米ジャーナリストが解説
- 2023-06-08アメリカ小売業トップ10社ランキングに見る、大手企業の最新動向!
- 2023-12-22今注目の「フェイクフィッシュ」とは
- 2024-01-29アマゾンをウォルマートが追いかける!激戦、米国リテールメディアの成功パターンと課題
- 2024-06-15AI 活用「配送最適化」進む!米国小売、最新物流戦略