杏林堂薬局が生鮮食品を強化する理由とは

有田 英明
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商圏人口が減る時代になった。つまり需要創造とラインロビングが生き残りの条件になる。それによってお客一人ひとりの家計シェアを向上させる発想である。杏林堂薬局は100年企業として新しいフード&ドラッグストアづくりに挑戦している。

杏林堂薬局のターゲットマーケット

杏林堂薬局
杏林堂薬局は100年企業として新しいフード&ドラッグストアづくりに挑戦している

 杏林堂薬局の本質はハウスキーピングニーズのワンストップショッピングストアである。ハウスキーピングニーズとは「日々の生活を豊かなかたちで維持する」需要概念。消耗品、小型品、低単価品が多い。お客の買物習慣は、「習慣的な買物」で、ついで買いが多いといった特徴がある。

 ハウスキーピングニーズを付加価値で分類すると、大きく3層構造になっている。いちばん上が付加価値と価格が高い「ラジカルゾーンマーケット」(ぜいたく品)である。真ん中が付加価値と価格が中ぐらいの「スペシャリティゾーンマーケット」(潜在需要の生活向上品)である。いちばん下が付加価値と価格が低い「ベーシックゾーンマーケット」(顕在需要の生活必需品)である。

 杏林堂薬局はまずはベーシックゾーンマーケットから取り組んでいる。POSデータ分析で売れ筋のいち早い発見と、死筋のいち早い発見が可能だから、売場効率を向上しやすい。とくに人口増加時代は、ベーシックゾーンマーケットは人口増加に比例して拡大した。安売りすればそれ以上に売り個数が増えたので企業成長の後押しにもなった。

 一方、ベーシックゾーンマーケットは生活必需品の安売り合戦になるのでレッドオーシャンである。

 ベーシックゾーンマーケットは生活必需品なので安売りは欠かせない。しかし低価格の「安売りが主語」の生活必需品には弱点もある。安さが主語なので、必然的に品質が限定的(品質が低い)で、お客からすれば不満、悩み、要求が発生しやすい。

 こうしたお客の不満、悩み、要求を解決する高品質商品がスペシャリティゾーンマーケットの生活向上品である。そこで、杏林堂薬局は2000年頃からスペシャリティゾーンマーケットにも挑戦している。つまり需要創造MD(商品政策)の取り組みである。

 人口減少時代になるとベーシックゾーンマーケットは縮小する。たとえば人口が1割減少したら洗濯洗剤の売り個数は1割減る。

 人口減少時代ではスペシャリティゾーンマーケットでの需要創造MDが欠かせない。杏林堂薬局ではスペシャリティゾーンマーケットの「販売活力化」する高品質アイテムを「ファーストチョイス商品」と呼んでいる。ファーストチョイス商品は高品質で顧客満足度が高いのでお得意さまをつくる。つまりブルーオーシャン戦略である。

 杏林堂薬局のターゲットマーケットはベーシックゾーンマーケットとスペシャリティゾーンマーケットである。つまり生活必需品の安売りだけでなく、潜在需要の生活向上品の提案にも取り組んでいる。ラジカルゾーンマーケットは扱わない。

杏林堂薬局の店づくりと立地戦略

 杏林堂薬局は、

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