ウォルマートが教えてくれる、EC・デジタル 自前化の恩恵とは
ウォルマート(Walmart)CEOのダグ・マクミロンが第3四半期の決算発表時にこんなコメントを残している。「インフレプレッシャーに対抗するために上流に向かって泳ぎながら売価を下げるよう努力している」──。
“上流に向かって泳ぐ”とは創業者サム・ウォルトンがつくった10の行動規範からなる「サムズルール」の1つ、“SwimUpstream(流れに逆行して泳げ)”から来ているのだろう。世の中に逆行せよ、難しいことを避けずに努力しろ、ということを言っているのだが、ふつうの言葉としてこれがさらりと出てくる点にウォルマートの真骨頂を見る思いがする。サム・ウォルトンの思想が企業文化として浸透しきっていることを思い知るような言葉である。
もう1つきわめて重要なことをマクミロンは言っている。「ウォルマートはむしろデジタル企業になっているし、ある意味においてはもうテクノロジー企業だ」
この発言は、デジタル広告のような高粗利なデジタルビジネスの規模を拡大していく、といった文脈の次に出てきたものなのだが、きわめて重要な意味を持っていると私は考えている。
マクミロンが「わが社はこれから徐々にEコマース企業になっていくだろう。いまちょうど変革点を通り過ぎているところだ」と言ったのは2016年のことである。およそ5年を経てとうとうCEOをして自らをデジタル企業だと発言できるレベルに到達したというわけである。
4事業で収益化を実現
ウォルマートだけではない。
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