三浦 弘社長が明かす、ビッグ・エーが小型家電や雑貨も品揃えしていく理由
小型家電や雑貨も品揃えし、楽しい買物体験を提供!
──「ビッグ・エー」が50歳以上の方から支持されている理由は何でしょうか。
三浦 理由の1つに、国産野菜の販売に力を入れてきたことが挙げられます。外国産の輸入青果を多くの小売店が取り扱うようになっているなか差別化策として、契約農家さんとの関係構築を進め、国産野菜を豊富な品揃えで、かつ安定した価格で提供しています。通常、ハードディスカウントストアは酒類の売上高構成比がもっとも高くなるのですが、当社は青果の売上高構成比が全体の約15%と、酒類と同じくらい高いのが特徴です。
──今後の強化カテゴリーはありますか。
三浦 アルディやリドルは近年、出入口に催事コーナーを設置したり、オーガニック野菜をコーナー化したりと、従来のハードディスカウントストアのイメージを覆すような取り組みを進めています。そうしたなか、「ビッグ・エー」でも始めているのが、インストアベーカリーと非食品の販売強化です。
インストアベーカリーは食品スーパーと遜色ない品質の商品を、税抜89円均一で提供します。16年から販売をスタートし、すでに27店舗に導入済みです。1日200~300個を売り上げるコーナーに育成できれば3年ほどで投資回収ができる見込みです。
非食品では、2000円以下という低価格でありながら便利で品質の高い、小型家電製品を提案します。すでに1人用のホットプレートや、小型扇風機などを実験的に販売しています。これら商品を加えることで、まるで宝探しをするような楽しい買物体験をお客さまに提供したいと考えています。
ローコスト施策を集結した店舗を開店
──ハードディスカウントストアの低価格の実現には、ローコスト・オペレーションが必要不可欠です。
三浦 当社は10年以上前からアルディやリドルを参考にローコスト・オペレーションを推進してきました。その結果、現在では基本的に1店舗当たり48人時/1日で営業できる体制を構築しています。
ローコスト・オペレーションの代表的な施策としては、5年ほど前から始めたシェルフレディパッケージ(※1)の導入が挙げられます。現在の対応商品は多いときで300品目ほどあり、さらに増やしていく方針です。
将来的には、自社の物流網を持つ強みを生かし、店舗での作業が少なくて済むような商品の納品形態を確立してフロア・レディ・マーチャンダイジング(※2)を実現するべく準備を進めています。
※1:ハサミやカッターなどを使わず簡単に開封でき、そのまま売場に陳列できるパッケージ
※2:商品を売場にケースのまま陳列できるようにして、品出しの人件費や労力を低減させる方式
今年7月には、これまで積み上げてきたローコスト・オペレーションの施策の集大成として、東京都足立区の「足立扇店」を全面改装します。さらに、同店で試行錯誤した成果を反映させた新店も11月頃までに出店する計画です。
アルディやリドルが先進的に実践する人時を低減させる解決策は、人手不足が社会問題となっている日本も取り入れていくべきだと考えます。今後、日本では高齢化が進み、単身者も増え、買物が困難になる人が増えるでしょう。小商圏でも成り立つモデルのハードディスカウントストアは消費者に貢献できる業態であり、「ビッグ・エー」がその第一人者になりたいと考えています。
──今後の出店計画を教えてください。
三浦 20年2月期の新規出店計画は15店にとどめていますが、今後は毎年、店舗数全体の約1割に当たる20店ほどを出店したいと考えています。
出店地については、東京都南部や神奈川県周辺のドミナント深耕を早期に進めるとともに、ここ最近SMの退店が続いている東京都の八王子市、東大和市、多摩市エリアに出店のチャンスがあるとみています。