電子レシートの時代が本格到来!? 東芝テックに聞いた拡大へのカギ

取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
文・構成:編集プロダクション雨輝

POSレジで国内シェアNo.1を誇る東芝テック(東京都/錦織弘信社長)は、東日本大震災で経験した紙不足の教訓を踏まえ、電子レシートの普及に取り組んできた。

電子化によるコスト削減や環境負荷の軽減に加え、購買データの活用やデジタル販促のツールとしても注目されている。同社の担当者に電子レシートの現状と普及に向けた取り組みについて聞いた。

年間数百万円のコスト削減が可能に

 東芝テックは、買物の際に受け取るレシートを電子化し、スマートフォンでまとめて管理できるサービス「スマートレシートⓇ」を2014年から展開している(主な機能は図表参照)。

図表●スマートレシートの主な機能

 同社の調査によると、23年度に「スマートレシートⓇ」で発行された電子レシートの枚数は約5600万枚にのぼった。この枚数に紙レシート1枚の平均の長さ(16㎝)をかけると、全長は約8960㎞におよぶ。

 この量が実際に紙で発行された場合、約14万2222ロール分のレシートロールを使用することになる。1ロールあたりの原価を400円とすると、合計でおよそ5689万円。これから概算すると、もちろん企業規模により差はあるが、紙レシートを廃止するだけで年間数十万~数百万円規模のコスト削減が見込める。地球環境への負荷軽減の観点でも、レシート電子化が果たす役割は大きい。

 さらに、電子レシートの導入は消費者や小売企業にもさまざまなメリットをもたらす。たとえばユーザーにとっては、

この記事でわかることは

  • 買物で受け取るレシートを電子化し、スマートフォンでまとめて管理できるサービス「スマートレシート」を提供している。

  • ユーザーはレシートの持ち歩きや保管の手間から解放され、支出管理が容易になるなど、家計管理にも役立てることができる。

  • 企業は電子レシートから購買データを取得し、顧客に最適なクーポンを配信するなど、データに基づいた販促が可能になっている。

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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