無人店舗、フードデリバリー、業務改革を進めるイオン九州のDXとは

文:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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電子棚札を導入し
業務プロセスを変革

 デジタル技術を活用した既存業務プロセスの変革にも着手している。たとえば、21年4月には凸版印刷(東京都)の電子棚札システム「トッパン電子棚札システム」を一部の店舗で試験的に導入。特売や売価変更などの情報が基幹システムから自動で反映され、売場の電子棚札に表示される仕組みだ。値札を手作業で貼り替える作業の負荷を軽減でき、よりタイムリーな売価変更によって売上への貢献も期待される。

 小売業はともすると勘や経験に依存しがちな傾向があるが、デジタル技術を活用することで、様々なカスタマージャーニーで接点を持ち、消費者ひとり一人の嗜好やニーズをデータで把握できるようになる。岩下氏は「お客さまのニーズをより正確に理解したうえで『お客さま第一』の商品・サービスを提供するためには、これまでの延長線上から脱却し、まったく新しいことに挑戦しなければならない」とし、「小売業でDXを推進するためには、これまでとは異なる新しい発想や起業家精神を持つ人材が必要だ」と説く。

 イオン九州では、DX推進に向けて、若手人材の発掘や育成にも積極的に取り組んでいる。20年11月、デジタル人材を社内で初めて公募し、7名がデジタル推進部に着任した。岩下氏は「経営統合を機に多様な人材が集まり、新体制のもとで新しい目標に向かって切磋琢磨しようというポジティブな機運も高まっている」とし、「今後は、起業家精神に溢れる人材を育てるための会社の仕組みづくりにも柔軟に対応していく」との方針を述べている。

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松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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