ロボティクス技術×物流ビジネスが人と社会にもたらす新たな価値
ラストマイル配送の未来
物流業界共通の課題の一つに、多様化する顧客の要望により業務が複雑になる傾向があるラストマイル配送が挙げられます。フェデックスではこのラストマイル配送の一部である、店舗から近隣住宅等へのオンデマンド輸送の効率化に、自動配送ロボットを導入して解決を目指し取り組みを始めています。米国では2019年初頭より、フェデックスの自動配送ロボットRoxoを活用して実証実験を行っています。ピザハットやTarget、Walmartのような米国内の主要な小売業と連携し、Roxoを使って比較的小さな荷物(ピザのような食品や医薬品等)を当日中に自動配送するのです。
Roxoは、セグウェイを開発したDEKA社の、階段も登ることができる電動車椅子iBOTの技術を応用したもので、屋外では歩道を移動して配送します。坂道や歩道に障害物があってもスムーズに移動できるRoxoは、様々な場所での利用が期待できますが、それには各国や地域特有のオンデマンド配送への要望に合うオペレーションができるよう、Roxoの機能を調整する必要があります。日本でもそのための実証実験に向けて調整中で、まずは屋内や研究施設の敷地内等での走行実験を行うことを想定しています。
社会に受け入れられるロボティクス技術への進化
ロボティクス技術を開発するのも、それをサービスに組み込んで活用するのも、そのサービスを受けるのも人であり、我々はロボットが人や社会に受け入れられることが何より重要だと考えています。自動配送ロボットは全く新しい技術とツールです。人によっては、日常生活でロボットに触れることへの不安や安全性への懸念を抱く方もいるでしょう。我々はロボティクス技術の発展の段階からその存在と働きを多くの人に知ってもらうことで、親しみを持ってもらうよう努力しなければなりません。そして、ロボティクス技術が広く受け入れられるためには、様々な企業による多岐にわたるロボット活用の提案があるべきで、その目的は事業の効率化のみならず、ロボットによるサービスを受ける人の生活の質を向上させ、さらには社会全体を豊かにすることであるべきだと、我々は考えています。
Roxoについてさらに詳しくお知りになりたい方は、下記リンクより走行時の様子も動画でお楽しみいただけます。
氏家 正道(うじいえ まさみち)
フェデックス エクスプレス
北太平洋地区担当副社長
2005年10月に現職に就任。東京に拠点を置き、北太平洋地区(日本、韓国、台湾、香港、グアム、サイパン)を統括。
1992年にフェデックスに入社。サービスエンジニアとしてキャリアを始め、2002年よりマネージング・ディレクターとして日本およびグアム、サイパンのグランド・アンド・サプライチェーン・ロジスティクス・オペレーションを統括した。現在は北太平洋地区担当副社長とアジア太平洋地区サプライチェーン担当副社長を兼任。また、Conference of Asia Pacific Express Carriers (CAPEC) Japanの創立会員および現会長として主要なステークホルダーと協議し、政策方針について改革に取り組む。同時に、日本経済団体連合会および関西経済団体連合会で評議員を務める。
1967年、北海道生まれ。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院および香港科技大学でMBAを取得。