世界最大の小売企業であるウォルマート(Walmart)は近年、無人自動運転車やドローン技術を駆使した新たなラストワンマイルデリバリーの構築に乗り出している。慢性的な配達員不足などを背景に、これら新技術への注目度は高いが、果たして現実には顧客にとって価値のあるサービスとなり得るのだろうか。ウォルマートがこれまで推進してきたラストワンマイルのデリバリー戦略をベースに、その将来について考察してみたい。
BOPIS、居宅内配達…ウォルマートの宅配戦略
コロナ禍の2年間で、米国小売業ではグロサリー販売でのBOPIS(Buy OnlinePick-up In Store)の利用が急激に増えた。とくにパンデミック当初はデジタルに慣れていない高齢者の利用が増えたが、その最大の理由は感染リスクを警戒して、オンラインで注文して店頭(カーブサイド)で受け取るという新しい購買スタイルを歓迎したからだ。
ウォルマートはオムニチャネル戦略の一環としてピックアップを以前より推進し、そのためのハード、ソフト、そしてオペレーション面の仕組みを、コロナ禍の特性を考慮しながら磨き続けてきた。もっとも、元々の戦略を大きく変えたのではなく、軌道修正をしながら確実なものに仕上げていっただけである。コロナ禍でオペレーションの変更は多少あったものの、アプリやWEBで注文し店舗の駐車場で受け取る仕組みは、店内での商品ピッキングを支えるシステムや、マイクロ・フルフィルメントセンターの展開などを含めてほぼ完成系に近いといえよう。
一方で、
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