小型店ながら差別化策が随所に!「ライフ池袋三丁目店」売場レポート
「つま無し」の刺身に注目!
鮮魚は冷ケース24尺、対面型の冷ケース約10尺、平台1台の構成である。平台は、「うを鮨」の寿司と刺身コーナーで構成されている。平台の刺身コーナーでは、「つま無し」のシールを貼付した商品が目立つ。つまが無くても立体感のある盛り付けが可能な容器を使用しており、見映え的には「つまあり」の商品と大きな差がないように筆者は感じた。つまがゴミとなりやすいのであれば、SDGsの観点からも顧客からの要望が高まる可能性があるだろう。精肉のトレーレス包装に続く流れとなるか、注目したいところだ。
また、「うを鮨」では、鮮魚売場で拡販しているサーモンをメインとしたにぎりや手まり寿司など、単身世帯向けの少量サイズだけでなく、家族向けのサイズも充実させている。対面コーナーに加えて、平台でのマグネット機能を高め、店奥への誘導を図るというねらいもありそうだ。
そのほか冷蔵ケース内では、ライフオリジナル商品として機能性をアピールした「お米由来の乳酸菌」の銀鮭をレギュラーアイテムとし、厚みのある大切りサイズも用意することで、一品単価の増加を狙っている。また、刺身コーナーにおいては、マグロやサーモンを下段で展開し、中段では、手軽な利用に適した「おつまみ食べ比べ盛」を2種類展開していた。刺身に加えた「もう一品」のアイテムとして購入を促している。
また、鮮魚売場の隣にはライフの自然派PBである「ビオラル」コーナーを設けている。主通路の脇に設置し、店舗全体のアイコンとしての訴求を行っているのがわかる。青果のオーガニック商品、精肉のブランド肉、鮮魚の市場直送と併せて、メッセージ性をアピールしてライフのイメージ向上を図ろうとしているのだろう。
小型店でどう差別化を実現するか
日配は、購買頻度の高い商品売場を分散して配置することで回遊性を高めようとしている。牛乳、豆腐、納豆をそれぞれ異なる位置に配置しており、縦割り陳列を行うことでわかりやすい売場となっている。豆腐と納豆は2ケタ売価から200円台の価格幅で絞り込んでおり、取扱商品は多く、品揃えの豊富さがよくアピールできている。
牛乳は500円台までの商品を用意し、より強いこだわりを意識しているのがわかる。定番商品だけでなく、こだわり商品の目的買いへの対応は来店頻度アップの原動力となるだろう。購入頻度の高い日配売場の商品構成は、来店頻度の向上を狙うための評価軸としてチェックしておきたいところだ。
そのほか冷凍食品はライフオリジナルの商品開発が進んでおり、PBの陳列スペースが増えているようだ。ミールキット、ワンプレート、スープなど、近年需要が増えているカテゴリーでの拡大が目立つ。
飲料は冷蔵効率を考慮した開閉式ケースを使用。ビールは高さ2m以上の大型のオープンケースを導入しており、おそらく商品の取りやすさというよりも品揃えの充実を意識しているのだろう。即食需要に合わせて、このあたりの商品群もメリハリをつけた対応を行っているとみられる。
ライフ池袋三丁目店を見ると、生鮮部門での特徴の打ち出しが明確であり、他店との違いがうまく訴求されている。高単価アイテムを展開しながらも、定番商品については値頃感が意識されており、“割高感”をお客に感じさせない配慮がされている。価格の安さだけでなく、選択肢の多さや店の独自性を打ち出す姿勢が、エリア内での棲み分けや優位性を構築するためのポイントになっていると言えそうだ。