体験はコモディティ化しない!FAR EASTに学ぶ「顧客の心の掴み方」
社員とともにアラビア×ウェルネスで新境地を拓く
アイスクリーム、ビール、ワイン、古代小麦を使ったお菓子、ゾロアスターカレーなど、次々とオリジナル商品を生み出すFAR EASTでは執行役員、現場のマネージャー職含めて、90%以上が女性だという。同社では、大学やNPOで開発学を学んだ社員も多く働いている。彼女たちはFAR EASTが現地の農家と「ウィンウィンの関係」を築いていて、結果的に途上国の発展を支えている点に魅力を感じているのだ。
貿易業をバックグラウンドに持つ同社は、バイヤーたちが世界各地を飛び回り、定期的に現地の商品を買い付けている。そんな彼女たちが、現地に降り立ち、最初に向かうのはホテルではなく、「市場(バザール)」だという。「私たちの原点は『バザール(価値の決まる場所)』です。現地の人たちがどんな食文化に接しているのか、どんなモノに価値を感じているのか、徹底的に肌で感じるために、出張中は生産現場や、市場、食堂に張り付きます。一日7食は食べていますね」(佐々木社長)
FAR EASTはコロナ禍の逆風もなんのその、古代小麦を使った砂糖不使用のクッキーサンドなどの限定商品のオンライン販売を開始させ、横浜高島屋地下1階では、アラビア料理のテイクアウト専門店(デリカ)を出店するなど、爪を磨き続けている。
さらに積極的に攻めているデリカでは、「アラビア×ウェルネス」をテーマに、ヴィーガンやハラールといった最新トレンドを意識したラップサンドやお弁当などを販売、容器は、90日で土にかえる環境循環型パッケージを採用している。売れ行きは好調で、日常的なお惣菜が並ぶデパ地下で「エジプト弁当」を売るFAR EASTのデリカは、佐々木社長いわく「怪しさ満点」だ。
EC、デリカ、レストラン、自社開発商品と、どんな時でもチャレンジを続ける佐々木社長だが、その根底には、生産国と消費国を真摯な商売でつなぎ、さらに古代の歴史や食文化を再発見して伝えることにミッションを感じているのではないだろうか。あくまでその姿勢は自然体だが、どんな逆境も物ともせず、笑顔と行動力、社員一丸となって走り続ける元気な企業がFAR EASTだ。