メニュー

管理よりも販売を重視!「スーパーベルクス草加谷塚店」売場から見えるサンベルクスの強さとは

東京・埼玉・千葉の1都2県に食品スーパー44店舗を展開し、競合激しい商勢圏で独特の存在感を示す中堅チェーンのサンベルクス(東京都/鈴木秀夫社長)。前編では、2019年4月オープンの「スーパーベルクス草加谷塚店」(埼玉県草加市)の青果・鮮魚・精肉・総菜売場をレポートした。後編では、日配・菓子・加工食品の売場から同店の強さを探っていく

調査日=9月29日、10月3日 ※本文中の価格はすべて本体価格です

和・洋日配、冷凍食品
際立つ価格訴求
冷凍食品はEDLPで展開

 前回の記事でレポートした通り、和日配は麺や佃煮、中華総菜といった即食アイテムを総菜売場と一体化させるようなかたちで展開。他方、キムチや納豆、豆腐などの売場は青果売場の近くに配置している。

 購買頻度の高い納豆は、「水戸フーズ・小粒納豆45g×3パック」(59円)、タカノフーズ「極小粒45g×3パック」(79円)を軸としながら、「Mizkan」「あづま食品」などのメーカー品を絡めた構成としている。同じく売れ筋の豆腐は「ハギワラ・北海道産350g」(99円)、「相模屋食料・なめらか豆腐400g」(69円)などをメーンに展開。全体的に価格訴求を軸にしたラインアップとなっている

 洋日配では、「雪印メグミルク・ナチェレ恵400g」(119円)、「明示・ブルガリアヨーグルトプレーン400g」(129円)と安いが、「トモエ乳業・北海道プレーンヨーグルト400g」(99円)がとくに安かった。

 約30尺で展開するアイスクリーム売場では、99円の個食タイプ、249円のマルチパックをベースに、「ハーゲンダッツミニカップ110ml」が199円と安さが際立つ。平台什器約80尺の冷凍食品売場は、EDLP(エブリデイ・ロープライス)価格政策をとっており、常時40~50%引きとしている。

スーパーベルクス草加谷塚店の売場レイアウト

加工食品・酒類・パン
オリジナルブランド「襷」の
ジャム・缶チューハイを販売

 インストアベーカリーがないこともあって、同店ではパンを重要カテゴリーと捉えていると思われ、スペースを大きく割いて売場を展開している。「食パン6枚」(88円)や98円均一の菓子パンなど価格訴求品を充実させており、ジャムや蜂蜜を関連販売する。ゴンドラエンドでは「黒胡麻ジャム」「りんごバタージャム」(145g/399円)、「ブルーベリージャム」「イチゴジャム」(145g/299円)など、サンベルクスのオリジナルブランド「襷(TASUKI)」のジャムを揃える。

オリジナルブランド「襷」(TASUKI)の「いちごジャム」

 またパン売場近くに配した「スイーツ」「和菓子」コーナーは、通路を挟んで対面になるようなかたちで売場を展開。和菓子コーナーでは、茨城県神栖市木内製菓「白大福2個」「わらべ餅」「みたらし団子」(各99円)など、個性的な商品を揃えている。 

 加工食品売場は、自社プライベート商品が少ないこともあって、売れ筋をメーンとした商品構成となっている。ナショナルブランドの中心の品揃えの中でも独自性を模索しているようで、「乾物」「スパゲティ」「オリーブオイル」「ドレッシング」「ソース」「マヨネーズ」などゴンドラ下段で大容量商品を展開。地域のニーズに合わせた対応であると思われる。

「襷」の缶チューハイは3SKUを品揃え

 酒類売場も売れ筋中心の構成だが、各コーナーにバイヤーにこだわりが垣間見える商品を差し込んでいる。日本酒コーナーの静岡県富士宮市牧野酒造「富士山百寿姫純米酒」、戸塚酒造「寒竹軽井沢の雫」などはその一例だ。そのほか、「襷STRONG 糖類ZEROレモン」など自社のオリジナル缶チューハイ3SKUも品揃えする。

まとめ
サンベルクスの強さは
現場の意識にあり!?

 サンベルクスの最新期の売上高は704億円。食品スーパー企業としての節目でもある売上高1000億円にこそ届いていないものの、草加谷塚店を見ると、大手チェーンと遜色ない売場、商品構成であることがわかる。

 具体的には青果の立体的陳列や価格設定、鮮魚・精肉の丁寧な商品づくり、総菜の豊富な品揃えと個性的なメニューづくりなど、どの売場も研究と勉強の痕跡を感じられる。ただ売上高を求めて新規出店しているのではなく、地域のお客のニーズを考えた堅実な売場づくりができている印象だ。 

 サンベルクスの店舗の特徴を1つ挙げるとするならば、それは「のびのびとした」売場づくりである。そしてそれを支えているのは、「管理」でなく「販売」を重視した、「売れるモノを売る」という姿勢だ。

 本調査後もサンベルクスの複数の店舗を訪ねてみたが、店ごとに売場の雰囲気が変わり、地域に見合った商品づくりや販促策が実施されていた。とくに生鮮部門は、各売場の責任者の個性が存分に発揮されているようだ。本部も売場の自主性を重んじているのは間違いない。

 大手チェーンの多くは、売場をどのように「標準」の型にはめ込むかに腐心している。その一方でサンベルクスは、各店舗・各売場の担当者が主体的に行動し、売場・商品づくりに取り組んでいるように見受けられる。「稼ぐのは現場であり、そのベースとなるのはスタッフである」という強い意識が、有効な競合店対策として機能しているようだ。


(店舗概要)
所在地 埼玉県草加市谷塚上町271-1
開店日 2018年4月10日
営業時間 10:00~21:00
売場面積 約600坪(歩測)
アクセス 東武スカイツリーライン「竹ノ塚」駅西口からバスで約7分
レジ台数 9台(セルフ精算機13台)