ゴミを出さない!国内初、量り売り食品スーパーの斬新なビジネスモデルとは
キッチンをフル稼働させ収益化
商品は規格不選別の野菜をはじめ、米や乾物、茶、ハーブ、調味料、海外産のナッツやドライフルーツ、アルコールなど700品目。中には豆腐や納豆といった日配品もあり、肉は予約販売する。
商品構成は野菜20%、総菜10%、雑貨10%、その他食品60%で国産品と輸入品は7対3。味はもちろんのこと、オーガニックやフェアトレード、アニマルウェルフェアなど社会と環境に配慮した商品を選ぶ。また納品時に過剰包装しないなど、ゼロ・ウェイストに賛同する生産者・メーカーを選定している。
店内奥にはカウンター12席のイートインを併設し、余った野菜や日配品は調理師がイートインメニューや量り売りの総菜、ジャムやピクルスといった瓶詰めにして素材を使い切る。「食品ロスを出す前提で売上を立てる小売業界の意識を変えたいと思っている。そのためにもキッチンは総菜、加工品の製造、レストラン営業という3毛作で食材を余すことなく商品化している。安定した経営に必要不可欠」と広報のノイハウス萌菜氏。お客にとってもイートインは、同店の商品を試せる貴重な場となっている。
国内外で加速するセルフ量り売り食品スーパー
開業2年目にして2022年は年商1億3000万円を目標に掲げる斗々屋。好調な背景には、環境への意識が高まっている時勢も関係している。実際に、同社が量り売り専門店の開業を最初に試みた2017年は「周囲の理解を得られず、早すぎた」(ノイハウス氏)という。
現在の海外事情はというと、フランスでは、近年大手チェーンストアの一角が量り売りになるほか、量り売り食品スーパーチェーン「day by day」がフランチャイズ展開で急成長。2021年7月に施行された「気候変動対策・レジリエンス強化法」にも2030年までに温室効果ガス排出量の40%削減することを目的とする項目の中に「スーパーの量り売り販売面積を2030年以降、全体の20%以上にする」と盛り込み、今後も増加が見込まれている。
国内でも一部の無印良品やナチュラルローソンがここ1年〜2年で菓子や日用品の量り売りを開始。小売店以外だと、徳島県上勝町を筆頭に“ゼロ・ウェイスト”を掲げ、ゴミ問題に取り組む自治体が増えているなど、普段の生活からゴミを減らす人、店は確実に増えつつある。