ヤオコーのDS2号店「フーコット昭島店」でみられた進化とは
ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)子会社のフーコット(埼玉県/新井紀明社長)は3月15日、東京都昭島市に「フーコット昭島店(以下、昭島店)」をオープンした。昨年8月、埼玉県飯能市に1号店を出店した新ディスカウントフォーマットの「フーコット」。“実質的1号店”となる昭島店はどのような店なのか。現地に足を運んだ。
1号店から進化!? 東京都昭島市に出店
ヤオコー子会社であるフーコットが3月15日にオープンした「昭島店」は、JR青梅線「東中神」駅から約550mの場所にある。東京都立川市と昭島市にまたがる国営公園「国営昭和記念公園」の西側、長らく未利用だった立川基地跡地の再開発計画のもと出店した。
同じ建物内にドラッグストアの「クリエイトS・D」が入り、近隣型ショッピングセンターを形成する昭島店。1号店の「フーコット飯能店」(埼玉県飯能市:以下、飯能店)が他社スーパーの退店跡への出店であったのに対し、昭島店は新設店となる。開発段階からフーコットが本来表現したい店づくりに取り組んだ、実質的なフーコット1号店とも言える店舗だ。
昭島店の売場面積は飯能店(約850坪:『ダイヤモンド・チェーンストア』編集部調べ)よりもやや広い3572㎡(1080坪)。主通路に沿って青果、鮮魚、精肉を展開するのは飯能店と同じだが、飯能店では総菜を入口から見て店舗奥側コーナーに設置した一方で、昭島店では店舗前方に配置するなど、売場レイアウトは飯能店と若干異なる。ゴンドラゾーン中央に通路を設け、回遊性を高めているのも1号店にはなかった取り組みの1つだ。
売場・商品づくりから感じられた「ヤオコーらしさ」
オープンから2週間が経過した3月下旬に店舗を訪れてみると、正午過ぎでも駐車場は満車状態で店内はお客で混み合っていた。駐車してあるクルマのナンバーを確認すると、「多摩」だけでなく「八王子」も多く、広域からお客が訪れていることがわかる。同日訪れていた別の記者の話によれば、「開店前は300人以上の行列ができていた」とのことで、2号店の滑り出しは上々と言ってよさそうだ。
各部門の商品政策は、4月15日発売の『ダイヤモンド・チェーンストア』誌で詳報するが、店全体を通して印象的だったのは、ディスカウントスーパーらしからぬ「丁寧さ」が感じられた点だ。
総菜の取り扱いの有無など一部異なる点はあるものの、フーコットの売場・商品づくりはヤオコーが17年に完全子会社したディスカウントスーパー、エイヴイ(神奈川県/八塩直之社長:屋号はエイビイ)の影響を強く受けている。
「エイビイ」は“売り切れ御免”を地で行く単品量販型の販売スタイルで、午前中に多くのお客が殺到することもあって、とくに正午以降は陳列が乱れしまっていることも多い。その一方で昭島店は、開店時から多くの来店があったにも関わらず、整然と商品が並べられていた。
「丁寧さ」は商品づくりからも感じられた。たとえば、精肉売場で販売していた「メキシコ産豚ローススライス」(写真参照)は、スライスされた肉が1枚1枚きれいに並べて盛り付けられてあり、売場での見栄えが非常によく、鮮度の高さも感じられた。フーコットで販売している鮮魚や精肉は、埼玉県小川町にある「フーコット小川生鮮センター」から供給しており、センターの加工技術の高さが窺える。ちなみに同商品は100g当たり74円(本体価格、以下同)と手に取りやすい価格設定で、実際に多くのお客が買物カゴに入れていた。
そのほか、店内製造で提供する総菜もどれも見栄えがよく、値ごろ感ある価格設定となっている。写真の「ロースカツ重」(298円)をはじめ、いくつかの商品を実際に購入して食べてみたが、どれもがおいしさやボリュームを含め価値が感じられる商品だった印象だ。
ヤオコーは売場・商品づくりのレベルの高さで全国の同業者からベンチマークされていることでも有名な企業だ。フーコットはディスカウントフォーマットであるものの、「ヤオコーらしさ」が随所から感じられる店となっている。業界関係者はチェックしておくべき店舗であることは間違いない。
気になるのはフーコットの今後の展開だが、3号店の噂はまだ聞こえてこない。ただ、新会社を設立してまで店舗展開するヤオコーの“本気度”を考えると、そう遠くないうちに次の出店がみられる可能性が高そうだ。
(店舗概要)
所在地 東京都昭島市もくせいの杜2-6-1
開店日 2022年3月15日
売場面積 3572㎡(1080坪)
営業時間 10:00~19:00
駐車台数 310台
休日 1月1日~1月4日