初の総菜PC活用で進化!マルエツの総菜商品戦略2025
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長:以下、U.S.M.H)傘下のマルエツ(東京都/本間正治社長)は、総菜部門で新たな試みを進めている。2024年3月に自社初のデリカセンターを稼働させ、総菜のオリジナルブランドも開発。「マルエツらしさ」を打ち出しつつ顧客ニーズに対応した商品づくりによって来店動機を生み出し、店舗全体の競争力向上を図っている。
売上好調下で見えた課題主力商品開発に注力
マルエツの総菜部門は、コロナ禍を経て中食需要が拡大するのに伴い、売上が好調だ。23年度の総菜部門の売上高は対前期比7.3%増の498億円。売上高構成比は13%(ベーカリーを含む)で、さらなる拡大をめざしている。

売上は順調に推移しているものの、一方で総菜の商品政策(MD)における課題も顕在化していた。幅広いジャンルにわたって豊富に商品を展開しているが、マルエツとしてお客に何を「おすすめ」するのか明確でなかったのだ。執行役員MD本部フレッシュデリカ統括部部長兼デリカテッセン部長の林誠司氏は「商品がただたくさんあるだけの売場では、お客さまが選びにくさを感じてしまう」と指摘する。

そこでマルエツが24年度の総菜部門のテーマに掲げたのが「『売場が変わった』とお客さまに思ってもらえるような売場づくり」(林氏)だ。その一環として強化しているのが、「主力商品」の開発。マルエツが自信を持ってお客に提案する商品を新たに投入し、売場では商品の特徴をPOPなどでしっかり伝え、”売り込む”ことに注力する方針である。
主力商品の1つとして、既存商品をリニューアルするかたちで開発したのが卵焼きだ。氷温熟成した鰹節と道南産の真昆布から取ったこだわりのだしを使い、店内で焼き上げる「出汁がじゅわっと溢れだす玉子焼」(498円:以下税抜)を24年5月に発売した。
試食販売や、味の感想をSNSに投稿すれば抽選でポイントを付与するキャンペーンなどを通じてお客に周知。社内でも売場づくりのコンテストを行うなど1年近くかけて売り込んだ結果、お客の認知も高まりつつあり、甘めの味付けが好評だという。

また、店内で一つひとつ握る「手作りおにぎり」(198円~)もリニューアルした。弁当の白飯とほぼ同量の160gというボリューム感と、おにぎり型を使わずに握ったふっくらした食感が特徴で、銀鮭や明太子、梅など7種類を揃えている。コストパフォーマンスの高さや食感が支持され、おにぎりカテゴリー全体の売上高が1 .2倍に伸長するという効果も示された。
「マルエツのおにぎりはおいしいという声もいただくようになった」と林氏も手応えを得ている。ただ、同商品は当初は型を使って握っていたため製造に時間がかかり、一部の店舗でしか販売できなかった。型を使わない握り方や製造オペレーションを変えるなどして作業負担を軽減し、11月時点で120店舗まで拡大した。今後はさらに導入店舗を増やしたい考えだ。

自社初の総菜PC稼働開始総菜の新ブランドも誕生
こうした主力商品の開発と並行して、総菜部門における新たな施策として進めているのが、プロセスセンター(PC)の活用だ。24年3月にマルエツでは初となる、総菜の製造・加工を行う「マルエツ草加デリカセンター」(埼玉県草加市:以下デリカセンター)の稼働を開始し、総菜の一部商品を全店へ供給している。
デリカセンターには開発機能も備えており、
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