独自商品15%目標、新生フジのグロサリーMD戦略

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア)
Pocket

中四国を地盤とするフジ(広島県/山口普社長)は、「3つのお得」「3つの価値」を掲げた商品政策(MD)を推進している。

地域密着型商品の開発をすすめながら、インターネットやSNSを使って商品の価値も訴求する。商品名の選定過程で消費者を巻き込むなど、独自のアプローチも行い、競合他社との差別化を図る考えだ。

“新生フジ”のもと開発方針を刷新

 フジは2024年3月、持ち株会社の旧フジが、傘下のフジ・リテイリング、マックスバリュ西日本を吸収合併するかたちで経営統合し、新たに設立された。新体制に変わり、本社も愛媛県から広島県に移転している。

 地盤とする中四国エリアの市場環境は、近年食品の品揃えを強化しているドラッグストアや価格訴求型のディスカウントストアの増加により、競争が激化している状況だ。

 そこで“新生フジ”として、開発方針に新たに掲げたのが「3つのお得」「3つの価値」の提供である。

 「3つのお得」は、セールやポイントの付与でお得感を演出する施策だ。食料品や日用品の一部商品を、毎月値下げする「全力プライス」、価格を訴求した食料品や日用品を提供する「毎日が安い!お値打ち価格」、対象の商品を購入した会員に追加ポイントを付与する「55プラスポイント」がある。

 「3つの価値」では、フジ独自の商品と企画で差別化を図る。イオングループのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」、バイヤーこだわりの開発商品、地場商品を提案する「バイヤー三ツ星」、「健活」「美活」など5つのテーマに応じた機能性商品を取り上げる「○活シリーズ」を展開する。

「バイヤー三ツ星」のボード
売場では「バイヤー三ツ星」のボードを掲げ、商品をアピールしている

 この全体方針のもと、フジの加工食品部門は「低価格」「価値」をMDの両輪に据えて取り組んでいる。加工食品は競合他社とも比較されやすく、執行役員加工食品統括本部本部長の藤原廣太郎氏は、「安さだけで対応するのは難しく、価値も提案し集客につなげたい」と話す。

藤原廣太郎本部長
執行役員加工食品統括本部の藤原廣太郎本部長

 24年度上期を振り返ると、とくに「3つのお得」では大きな集客効果がみられたという。たとえば「全力プライス」対象の加工食品の売上高は対前年同期比70%増、洋日配は同85%増、冷凍食品は同120%増と大きく伸長した。

 「3つの価値」でも、

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

ダイヤモンド・チェーンストア編集部紹介サイトへ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態