原料調達やブランディング…値上げ時代に勝ち残る!有力スーパーマーケットの商品政策2023!

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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食品MD大

「独自商品」を重視するバイヤーが大幅に増加

 コロナ禍で特需に沸いた食品スーパー(SM)各社。その後にここまでの外部環境の悪化が訪れるとは誰が予想しただろうか。2022年に入ると、ロシアのウクライナ侵攻により、原材料価格や物流費、水道光熱費などの各種コストが高騰。これに伴いメーカー各社の値上げが続き、消費者の節約志向が一気に高まっている。

 その結果、SM各社の22年度の中間期決算は、トップラインが落ち込むとともに、とくに電気代の負担が重くのしかかり2ケタ減益となる企業が多かった。

 本特集では食品小売企業のバイヤーにアンケート調査を実施し、58人から回答を得た。そこで集まった現場の声でも、計8割以上のバイヤーが現在の景況について「非常に悪い」「悪い」と回答しており、厳しい環境に置かれていることがわかる。

 こうした環境下で食品小売企業は今、どのような商品政策(MD)に取り組んでいくべきだろうか。消費者がSMを選ぶポイントは、大きく「立地」「価格」「商品」だ。そのなかで、値上げラッシュが続き、消費マインドが冷え込む現在のような状況下でより重視されるのは「価格」だ。ここでうまく対応できず「値段の高い店」というレッテルを貼られてしまえば、顧客が他店へ流出する可能性が高まるため、大切な局面にあるといえる。

 加えて、前出のアンケートで大きな傾向として表れたのが、MDのなかでも「独自商品の販売」の重要度が増している点だ。6割超のバイヤーが「重視している」と回答し、前年よりも10ポイントも増加した。各種コストが増加し収益を圧迫する今、「価格」だけでの競争には限界がある。各社、「商品」の付加価値によって独自性を発揮し、差別化を図る必要性をこれまで以上に感じていると言えそうだ。

 さらに、独自性を発揮するうえでは、「商品開発部の体制強化」や「メーカーとの連携強化」を推進しているバイヤーが多かった。これまで食品小売企業は、メーカーから仕入れた商品を販売するのが主だったが、現在の局面では、メーカーとの連携による商品開発や販促、さらには組織体制を強化し自ら商品開発に乗り出しているようだ。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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