「冷総菜の顔」のポテトサラダは継続して総力をあげた育成を
バリエーションがさらに客層を拡大する
今回は17品のポテトサラダについて、基本のポテトサラダと、各社こだわりのポテトサラダの2種に分けて試食を行った。どの商品も、原料の価格高騰をカバーするため生産効率を上げ、そのなかで味を維持しようとする姿勢が強く伝わった。また、基本商品にプラスアルファしてのバリエーションの広げ方、1人前から多人数までのSKUの持ち方などから、さらに多くの消費者ニーズに応えたい、という意欲が感じられた。
基本のポテトサラダの中で秀逸だと感じたのは、マルエツの「北海道産男爵のポテトサラダ」(写真❶:本体価格198円)である。男爵いものほっくりとした食感やいも自体のうまみをうまく生かしていた。少し甘めの味わいも、子供から大人まで喜ばれるだろう。マミープラスの「男爵芋のゴロ旨ポテトサラダ」(写真❿:同198円)とサミットの「北海道男爵ごろっとポテトサラダ」(写真❾:同198円)も同様に丁寧につくり込んでいることがうかがえた。ジャガイモ以外の材料もきちんと加熱加工されており、いものホクホク感があり、マヨネーズの加減も程よく、味のなじみもよかった。
こだわり商品で興味深いのはベルクの季節商品「春旬ポテトサラダ」(写真❷:同299円)だ。ポテトサラダにおいては扱いの難しい、水分の多い新ジャガイモを使っているにもかかわらず、野菜のうまみが感じられる一品に仕立てている。また、サミットの「だし香る!オニオンスライスポテトサラダ」(写真❽:同198円)も秀逸だ。かつお節のふわっとした食感が残っており、玉ねぎの水分はしっかりと切られ、シャキッと仕上がっていた。各社のこだわり商品にはどれもこうした工夫が見られた。
一方で、実際に想定している仕上がりとブレがあるのではないか、と感じられる商品があったことも触れておきたい。シンプルな味わいで喫食機会が多い商品だからこそ、少しの変化にも気づきやすい商品であることをぜひ心に留めてほしい。
たかがポテトサラダされどポテトサラダ
以上に述べたとおり、ポテトサラダは食卓の上では登場頻度の高い副菜であり、SMにとっては「冷総菜の顔」である。まずは基本のポテトサラダについて、社内で定期的に試食や改廃を重ねながらブレのない高いクオリティを保っていくことが大切だ。基本のポテトサラダのクオリティが保たれるからこそ、おつまみ系や旬を生かしたポテトサラダなど、アッパーな商品にも消費者は期待を寄せ、手を伸ばす。
ポテトサラダのような主力商品の内製化が進むと、日々のプロセスセンターにおける品位の管理、バイヤーの定期的な商品改廃の取り組みがますます重要になってくる。ぜひ、商品部、販売部が一体となり、常に商品に目を向け、品位を維持、進化させる体制をとることで、ポテトサラダのみならずSM総菜全体の拡販、成長に期待したい。
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