栄養成分表示に対する意識調査 「カロリー」「糖質」に続く、消費者が気にする注目成分は?
「ない方がよい」人は2割
理由は「楽しみをそがれる」
一方、外食において、栄養成分表示そのものが「あった方がよい」と回答した消費者が8割近く存在する一方で、栄養成分表示は「ない方がよい」と答えた消費者の意見についても注目してみた。
その理由は、「食べる楽しみをそがれるから」(39.3%)、「飲食店で食べるときくらいカロリーなどの栄養を気にしたくないから」(38.9%)と、せっかくの外食だから 思い切り楽しみたいと考える人も一定数いることも分かった。
外食に限らず、「食」は人の身体を作る大事な要素であり、日常的なものである。一方、「楽しみ」としてとらえている消費者も少なくない。ストレスの多い現代社会において、外食に限らず食べるときくらい、制限せずに楽しく食べたいと考える消費者も多いのではないだろうか。
栄養成分表示を活かし
商品をアピールする
これらの調査結果から、栄養成分表示を生かし商品開発を行う上でのポイントは2つあると推測する。
1つは、自己管理をしたい消費者に対するアプローチだ。正確な栄養成分表示をすることはもちろん、その成分量と食するシーンを明確に表示し、「どんな人に、いつ食べてほしいか?」を明確にターゲットに訴求するのだ。
たとえば、同じ商品でも、糖質やたんぱく質の含有量を変え、朝用、昼用、夜用など3段階にして、なぜそのシーンで食べるべきかを訴求するなどの提案もできるだろう。たんぱく質では、すでに同じ量のヨーグルトでの含有量を10g、20gなどと変えたものが商品化されている。こうしたアプローチを、ほかの商品で行うのも面白いだろう。
「気にしたくない」
消費者を取り込む
もう1つのポイントは、あえて栄養成分を表示しないことだ。現在、一般用加工食品では栄養成分表示が義務付けられているため、対象外のケースに限定されてしまうのだが、「食べるときくらい気にしたくない」消費者層を取り込む作戦だ。
昨今では、食事制限中に好きなものを自由に食べる日である「チートデイ」や、食べるのに背徳感を覚えるくらいボリュームやカロリーを含んだ商品を指す「背徳系」なども、若い世代を中心に注目ワードとなっている。このことからも、消費者が「カロリーなどの栄養素を気にせず食べたい!」というシーン向けの商品開発もニーズがあると考える。
ダイエットや健康、食の安全性に注目が集まる昨今、カロリーや糖質、脂質、塩分、たんぱく質など、今回とり上げたのはもはや基本的な栄養成分である。今後はそれ以外の栄養素についても注目が集まるに違いない。世界のトレンドにも目を向けながら、この栄養成分についての動向を引き続き探っていきたい。
【執筆者】
有木真理(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』所長)
飲食チェーン店での勤務やフードコーディネータ、リクルートライフスタイル沖縄の代表取締役社長を経て、現職。東京と沖縄の2拠点生活を送りながら、現在は販促渉外部長も兼任。外食回数年間300回と、大の外食好きで、日本各地の外食事情に詳しく、立ち飲みから超高級店まで幅広いジャンルに精通。食を通じて「人」と「事」をつなぐ活動のオーガナイザーとしても活躍。沖縄スポーツ関連産業協会の理事も務めているため、食以外にも観光、スポーツにも関わっていることから外食だけでない視点での食トレンドを語ることができる。
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