酒税改正でどうなるビール?新ジャンル増税でイオンPB、鮮やかな妙手とは

宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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プレミアム生ビールの価格はスタンダードに揃える

NBスタンダードビールと並べて展開する「プレミアム生ビール」
NBスタンダードビールと並べて展開する「プレミアム生ビール」

 バーリアルグランと同様の価格設定を、PBビールでも行っています。7月発売の「プレミアム生ビール」は、旧商品の「プレミアムビール」を刷新したもので、本体価格は350ml缶で20円上がり188円になりました。原材料の設計を変えており、原材料価格も上昇している環境での価格上昇は致し方ないところです。意図として興味深いのは、これがイオンリテールにおけるNBスタンダードビールの店頭価格に揃えられていることです。

 税区分上の「ビール」カテゴリーは、いわゆるスタンダードビールとプレミアムビールに分かれます。今から20年近く前に「ザ・プレミアム・モルツ」が仕掛け、以前から存在した「エビス」と共に確立していったプレミアムカテゴリーですが、明確な定義はありません。税率も一緒です。ただ、スタンダードビールよりも高価で高品質というイメージは確かにあります。

 そのプレミアムビールを商品名としたイオンのPBビールが、スタンダードビールと同じ価格というポジショニングで、旧商品を上回る販売計画を立てています。

 思い返せば、新ジャンルが誕生して市場を形成していった時期は、プレミアムビールが台頭したタイミングと重なります。ほぼ20年の時を経て、2つのカテゴリーは異なる岐路に立っています。現時点で販売数量を比べれば、価格の低い新ジャンルの方が遥かに巨大です。この一大市場が10月以降、大げさにいえばカテゴリーの存亡をかけた環境に置かれます。まして新ジャンルには試練がもう一段、控えています。3年後の26年に再び税率が上がり、ビール・発泡酒・新ジャンルの税率は一本化されます。これは発泡酒にとっても危機で、ビールにとっては躍進のチャンスです。税率が一本化されても売価が横並びになることはないでしょうが、価格差はどうしたって縮まります。

 スーパーマーケットのビール売場は10月以降、どのように変わっていくのでしょうか。変化は急激ではないかもしれませんが、ニーズの流動性は高まるでしょう。3年のスパンでは現状とはかなり異なる売場になっていくように思います。

 なかでも新ジャンルはどうなるのか? 全体の行く末は分かりません。ただ、少なくともイオングループのPBからは、すでに新ジャンルは消えました。

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