ベイシア、“いいとこ取り”のハイブリッド魚「ブリヒラ」全店舗販売開始で売上6億円をめざす
価格をコントロールし、持続可能な養殖業を実現する
ブリヒラの本格販売に至った経緯には、夏場に強いブリヒラで年間通じておいしい魚を届けるというねらいのほか、「魚食が見直される一方で高騰し続ける価格への対抗策として、そして持続可能な養殖業の確立のため」とベイシア代表取締役社長 橋本浩英氏は語る。
コロナ禍での内食需要の高まりを受けて、ここ10年右肩下がりだった「生鮮魚介類一世帯あたり年間支出金額・購入量」が増加を見せる一方で、魚介類の消費者物価指数は肉類や他の食品に比べ高騰しているのが現状だ。大量養殖で安定的な供給が確保されれば、価格のコントロールも容易になる。
さらに、水産資源の枯渇が懸念されている昨今、「持続可能な養殖業のためには、天然資源を消費することなく必要な量を供給できる人工種苗の存在が重要」(近畿大学 世界経済研究所教授 有路昌彦氏)で、ブリヒラの大量生産は水産業の未来につながる重要な意味をを持つという。とくに養殖業は、魚が出荷可能になるまで年単位の時間が必要になるため、従来価格変動リスクの高い産業とされてきた。ブリヒラの生産では、大学、生産者、加工業者、販売店が連携し、あらかじめ価格と生産物の買取を決めた上で生産が行われるため、生産者にとってリスクが少なく、安定した持続可能な養殖業を実現する架け橋になり得る。