茶系飲料市場、チャネルにより明暗分かれる 健康やおいしさなど新たな魅力を訴求
のどが渇いた際の止渇飲料として即時消費されることの多かった日本茶・麦茶などの無糖茶は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から自宅で過ごす時間が長くなったことでその役割に変化が生じている。この環境下、メーカー各社は健康感やおいしさ、環境への配慮など、各ブランドが持つ独自価値を改めて訴求している。
外出自粛の影響でコンビニや自販機が苦戦
KSP-POSデータによると、2020年4月から21年3月の日本茶・麦茶ドリンクカテゴリーの期間通算金額PIは前年同期比3.2%増の1万2347円、数量PIは同0.3%減の105.1という結果になった。
日本茶・麦茶のカテゴリーは通常気温が上がり、止渇や熱中症対策を目的に購入機会が増える夏場に需要が高まる。
月別の売上の傾向を見ると、緊急事態宣言中の20年4月と5月は前年を割ったものの、4月以降は10月を除いて前年超えが続いており、とくに緊急事態宣言明けの6月は、金額PIが前年同期比11.2%増と大幅に伸長している。
今期は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出自粛やテレワークの推進など自宅で過ごす時間が増えたことにより、コンビニエンスストアや自動販売機チャネルでの購入が激減。食品スーパーでのまとめ買いやeコマースでの注文が増えるなど、チャネルによって大きく明暗が分かれた。
さらにPETボトル飲料でもパーソナルサイズではなく2L大容量タイプを手に取るようになったり、PETボトル飲料から茶葉へと移行するなど、生活者の行動に変化が生じている。
一方、紅茶ドリンクカテゴリーの20年4月から21年3月の期間通算の金額PIは前年同期比4.7%減の3480円となった。
これまで紅茶ドリンクは砂糖使用のストレートティーやミルクティー、レモンティーが主流だったが、近年は無糖タイプやフルーツティーなどバリエーションも広がっている。たとえば日本コカ・コーラでの「紅茶花伝」は、従来のロイヤルミルクティー中心の戦略から「無糖ストレートティー」や「クラフティー」など新たな商品を投入することで多彩なラインアップを持つ上質な紅茶ブランドへと進化させている。
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