2023 秋・冬 糖質オフ・ゼロ系ビール類、酒税改正が市場にもたらす影響は?

石山 真紀(フリーライター・売場研究家)
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健康・機能性市場トレンド2023秋・冬

健康志向の高まりを受けて性年代を問わずユーザーが拡大している健康・機能系の食品群。今期は「糖質オフ・ゼロ系ビール類」「減塩商品」「機能性表示食品」「たんぱく補給食品」の4つのカテゴリーを取り上げ、トレンドを探る。

糖質オフ・ゼロ系ビール類

【対象商品】4大メーカー(オリオンビールはアサヒビール扱い)の糖質オフ・ゼロ系商品

自然の中のビール
2022年9月から23年8月の糖質オフ・ゼロ系ビール類市場は値上げ前の駆け込み需要で伸びた9月をはじめ一部の月で前年を上回ったものの、全体的にマイナス基調で推移した。(i-stock/stsmhn)

酒税改正で新ジャンルから発泡酒・ビールへの動きが加速か?

 2022年9月から23年8月の糖質オフ・ゼロ系ビール類市場は値上げ前の駆け込み需要で伸びた9月をはじめ一部の月で前年を上回ったものの、全体的にマイナス基調で推移した【図表1】

【図表1】糖質オフ・ゼロ系ビール類の金額推移(全国)2022年9月~2023年8月 出典:KSP-POS(食品SM)

 同期間は新ブランドの発売もなかったため、【図表2】のランキングでも上位の顔ぶれや構成比に大きな変化はない。「アサヒスタイルフリー」「キリン淡麗グリーンラベル」「淡麗プラチナダブル」「サントリー金麦糖質75%オフ」の主要4ブランドについては金額ベースで前年を上回る月が多いが、今期は値上げの影響が大きく数量ベースでは前年を下回る。

【図表2】糖質オフ・ゼロ系ビール類の売上ランキングトップ20(2023年8月/全国) 出典:KSP-POS(食品SM)

 一方で「キリン一番搾り糖質ゼロ」は23年6月まで前年を下回っていたものの、販促施策の効果からか、23年7、8月は一転し前年を大幅に上回っている。

 【図表3】の年代別数量構成比を見ると、50代以下の構成比が高めだが、その差は維持~縮小傾向にある。

【図表3】糖質オフ・ゼロ系ビール類の年代別数量構成比(全国)2022年9月~2023年8月 出典:KSP-POS(食品SM)

 10月の酒税改正では発泡酒と新ジャンルの酒税が一本化されることから、新ジャンルユーザーが発泡酒・ビールへ流入することが想定される。「プリン体0※1」「糖質0※2」でありながら、ビールらしい風味やキレが感じられるキリンビールの「淡麗プラチナダブル」は24年1月に商品をリニューアル。原材料配合の見直しによりビールに近い自然な飲みごたえを強化している。

 酒税改正がどのような影響を及ぼすか、今後も注視していきたい。

※1 100ml当たりプリン体0.5mg未満のものをプリン体0と表示 
※2 食品表示基準による

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