消費者ニーズの発見方法

桜井 多恵子(チェーンストア経営システムコンサルタント)
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販売データの加工と新たな分析方法

 現在、日本の小売企業の多くは、POSデータから加工される単品数量、ABC分析、そして部門別管理表、また、在庫、物流、ベンダーの統計などを利用して売れ筋、死筋を突き詰め、品揃えの改善に役立てている。自社が扱う商品についての分析はこれらである程度できるのだ。

 問題なのは生活者のニーズとウオンツを知りたいのだが、上記のデータだけではわからないことである。本当のニーズとウオンツが今、自社が扱っていない品種や品目ならば、既存のデータでは知ることができないからだ。この件については後で述べるが、今ある販売データを最大限有効活用するべきだから本質をわかりやすくするために加工が必要である。

スーパー 買い物 イメージ
(i-stock/whyframestudio)

 従来の商品部門別、品種別、品目別の分け方を変え、これまでとは異なる視点でデータ分析をするのだ。品種グループは仕入れ先別ではなく、お客が関連購買するかどうかで分類しなおす。つまりTPOS(時間・場所・場面・ライフスタイル)分類である。同じ用途に使う可能性があるなら同じ分類にするのだ。

 また、需要が縮小、または拡大していると想定できる分類は、10年前の販売データを同じように加工すれば比較できる。そこで重点が変わったことがわかるはずだ。

 次に、新たな品種内の品目を価格帯別に分ける。そうすると人気の価格帯とそうでない価格帯の区別ができる。品種、品目ごとにどの価格帯をねらうべきかは、ここで確定する。売価の上限と下限を決めることで価格レンジ(扱う価格帯)が決まり、その中で最も需要の多い売価をプライスポイントと想定する。つまり商品構成グラフの形を決めるのである。バイヤーの仕入れはそれを前提とすることになる。

 ちなみに品目とSKU(単品)は異なる。ニーズの発見の際には商品管理上の最小単位であるSKUではなく、お客が見分けられる最小単位である、品目に集約してから分析する。見かけは同じでも仕入れ価格が違えば異なるSKU番号がふられ、入荷時期の違いでも区別が必要になるからだ。しかし、その区別はお客にとってはどうでもいいことである。

 分類は細かすぎると分析に時間がかかるし、本質を見失う。だから

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