セブン-イレブン・ジャパンがデジタル販促にTwitterを選んだ狙いとその成果

構成:石山 真紀
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セブン‐イレブン・ジャパンでは2020年よりTwitterを活用したデジタル販促を強化している。同社の商品本部販売促進部総括マネジャーを務める福島一晃氏に、Twitter 販促導入の背景と実績、今後の展望について話をきいた。

Twitter上での告知がリアル販促のアクセルに

――はじめにセブン‐イレブン・ジャパンの販促に関する方針についてお聞かせください。

セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 販売促進部 総括マネジャー 福島 一晃 氏
セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 販売促進部 総括マネジャー 福島 一晃 氏

福島 販売促進部の業務は店頭を中心としたリアル販促とアプリを中心としたデジタル販促の2つに大きく分かれます。当社はフランチャイズによるビジネスを展開しております。本部の役割は加盟店をバックアップすることで売上利益をしっかりとあげていただくことにあり、これは絶対に譲れない当社のDNAともいうべきものです。

 Twitterを活用した販促は、主にリアル販促におけるアクセルという位置づけで、セールの告知や新商品紹介といった施策を主に行っています。

――2020年よりTwitterでの販促を強化したとのことですが、ここに至る背景をお聞かせください。

福島 コンビニエンスストア業態は、来店客数の減少という課題を抱えています。コロナ禍前からその兆候はあり、これまでは客単価の上昇により売上を保ってきましたが、今後、売上を確保していくためには、ミレニアルやZ 世代といった若年層を中心に幅広い年代の来店頻度を上げる必要があります。

 また、人手不足も課題のひとつです。最低時給の上昇などもあり、コンビニエンスストアの従業員の採用、定着が厳しいなかでも、できるだけ加盟店に負荷のかからない方法での販促が求められています。

 さらに、一過性の売上増ではなく継続的に利用してもらうためには、商品や店舗の価値、企業としての取り組みをより深く知っていただく必要がありますが、既存の販促ではその価値を伝えきれていない部分がありました。

 以上のことから、当社では消費者にとって身近なSNS のひとつである、Twitterを活用した販促を強化する方針を打ち出しました。

――Twitterを活用した販促にどのような魅力を感じていますか?

セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 販売促進部 統括マネジャー 福島 一晃 氏(右) セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 販売促進部 プロモーション・広告企画担当 落合 隆行 氏(左)
セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 販売促進部 統括マネジャー 福島 一晃 氏(右)
セブン‐イレブン・ジャパン商品本部 販売促進部 プロモーション・広告企画担当 落合 隆行 氏(左)

福島 Twitterの魅力は「スピード感」、「拡散性」、「親近感」の3点にあると思います。

 「スピード感」や「拡散性」に関しては圧倒的な優位性を持ちます。現在、公式アカウントには約385万人のフォロワーがいますが、投稿した内容をフォロワーがリツイートすることで、その情報は1000万以上のインプレッションにつながります。この拡散性やスピード感はほかの媒体にはない特長です。

 また「親近感」というのもTwitterの大きな魅力です。フォロワーの多くはセブン‐イレブンを日頃からご愛顧いただいている方であり、コメント欄を見ても好意的な内容が多く並んでいます。また、こちらからもユーザーのツイートを拾い、リツイートさせていただくことでコミュニケーションも生まれます。

 テレビCMの場合、企業からのメッセージを一方的に流すだけですが、Twitterの場合、こちらから出した情報に対し、共感のかたちでフォロワーが情報を拡散してくれる。とくに、ミレニアルやZ 世代といった若年層は共感を大切にしており、相互フォロワーからの情報を重視する傾向にありますので、そういった意味でもTwitterによる販促施策は、刺さりやすいと考えています。

テレビの「ながら視聴」とTwitter販促の好相性

――Twitter 販促の本格始動は、2020年7月11日のセブン‐イレブンの日から、とお聞きしています。

福島 はい。20年7月11日の「セブン‐イレブンの日」には人気YouTuberのフィッシャーズさんを起用した「#フィッシャーズ診断」および、Twitterのメッセージに711~716円のレシートを送信すると抽選でクーポンが当たる「#セブンの都市伝説」という2つのキャンペーンを行いました。

 コロナ禍の重苦しい雰囲気の中、少しでも明るい話題を提供したいと取り組んだ施策ですが、同時開催したPayPayとのコラボレーションによるチャムスのエコバッグ配布キャンペーンを含め、多くの方に共感いただきました。その結果として、フォロワー数が7万人増加したほか、20代の来店回数が前月対比で1割ほど増えるという成果を挙げることができました。

 これらの取り組みに手ごたえを感じ、その後のテレビ番組との連動に繋がっていきました。

――TBSの人気テレビ番組「ジョブチューン」での施策は大きな話題となりましたね。

福島 ありがとうございます。10月に放映された「イチ押しスイーツランキングTOP10」から、番組放映時にリアルタイムでツイート投稿を行うようにしました。順位が発表される度に、「満場一致合格をいただきました」「残念、不合格でした」といったコメントを出したのですが非常に反響が大きかった。

 とくに1位になった「シュー・ア・ラ・クレーム」は、番組内で高い評価をいただいたこともあり、投稿ツリーには多くのポジティブなコメントをいただきました。また、不合格だった「北海道産牛乳使用たっぷりみかんの牛乳寒天」にも、番組内の評価に対する不満や応援コメントが並び、マイナスの情報がプラスに転じるといった動きも見られました。

 放送中に取り上げられた商品を購入するといった動きが見られたのもTwitterのスピード感や拡散性が生かされた格好ですね。合否にかかわらずどの商品も伸長し、とくに「シュー・ア・ラ・クレーム」は、1カ月以上継続して売れ続けました。

セブン お菓子
テレビとTwitterの相乗効果で売上に結び付いた「シュー・ア・ラ・クレーム」「北海道産牛乳使用たっぷりみかんの牛乳寒天」

 さらにドラマ「この恋あたためますか」とのタイアップでは当社とTBS 様双方で予告宣伝を行った結果、多くの反響をいただき、とくに期間限定品として発売した「恋する火曜日のチョコっとリラックシュ~」は好評で、再販希望も多かったことから21年2月に再販し、ドラマ放映時と同等の反応をいただきました。

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