インフレが好機に!アルディとリドルの最新戦略を徹底解説!新レイアウトに統合説も
いずれもドイツを本拠に、一般的なスーパーマーケット(SM)よりも低価格商品を提供するハードディスカウンター(HDS)業態を展開するアルディ(Aldi)とリドル(Lidl)。両社は低価格商品を強みとして、インフレ下においてドイツ国内だけでなく欧州全体でその存在感を強めている。両社の最新の動向と施策を解説する。
※1ユーロ=155円で換算
英国で猛攻を仕掛けるアルディ
欧州では依然としてディスカウンターの勢いが強まっている。店舗自動化ソリューションを提供するプライサー(Pricer)が4月に行った英国の消費者意識調査によると、インフレ前の2021年において「価格に敏感である」との回答は59%だったが、最新の調査では92%に増加した。そして、回答者の61%がアルディUK(Aldi UK)やリドルGB(Lidl GB)で一部の買物をすると答えた。さらに56%がディスカウンターですべての買物をするようになったと回答している。
英国におけるHDSと食品スーパー(SM)との間の価格差は大きい。英国消費者団体発刊の「ウィッチ(Which?)」は、23年8月に行った食品小売大手8社の価格比較を発表した。調査対象とした37品目の合計購入金額は、アルディUKが65.21ポンドで1位、リドルGBが66.53ポンドで2位と、第3位の英国大手のSMアズダ(Asda)の71.48ポンドを大きく引き離した結果となった。また、アルディUKが1位になるのはこれで15カ月連続である。
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こうしたなか、アルディUKとリドルGBの英国における食品・日用消耗品市場のマーケットシェアは上昇中だ。調査会社のカンター・ワールドパネル(KantarWorldpanel)によると、8月6日までの12週間のグレートブリテン(英国のうち北アイルランドを除く地域)におけるアルディUKのシェアは10.2%、リドルGBは7.7%だった。インフレ前の21年8月のシェアと比較するとアルディUKは2.0ポイント(pt)、リドルGBは1.6pt増加した。競合他社は価格引き下げを行うなどの対抗策を繰り広げているが、両者の勢いはとどまるところを知らない。
アルディはフランスで正念場を迎える
ただし、こうした傾向はアルディやリドルが店舗展開する欧州の多くの国々で見られるものの、すべての国に当てはまるわけではない。アルディを例にとるとデンマークやフランスがそうだ。
アルディは22年12月に、赤字が続いていたデンマーク市場
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