人気絶大も業績は低迷  中国で「無印良品」が苦戦する理由

牧野 武文(ライター)
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無視できない模倣ブランドの進撃

 良品計画はこの問題を急いで解決しないと、中国での居場所を失うことにもなりかねない。なぜなら、名創優品(メイソウ)というライバルが急速に力をつけているからだ。メイソウは以前から、「無印良品とユニクロとダイソーを足して3で割った“パクリ企業”」などと揶揄されてきたが、今では中国で約3300店舗、東南アジアと中東などに約2000店舗を展開し、店舗規模では良品計画の10倍近い規模を誇る。中国事業の営業収入も、良品計画の866億円(22年8月期)に対し、メイソウは546億円(22年度)まで迫る強力なライバルになっている。

 もっともメイソウの商品の質は、無印良品と比較するのも憚られるほど低い。だが、“無印良品風”のデザインはしっかり学んでいて、中国の消費者には「5分の1の価格で無印風の商品が手に入るブランド」と認識されている。品質は“中の下”であることは理解したうえで、「まずはメイソウで買ってみて、使い勝手がよければ同様の商品を無印良品で買う」という流れが出来上がっているのである。さらにメイソウは、以前に比べれば、“それなりに満足できる程度の品質”は担保するようになっている。

 一方、良品計画は現在、年間30店舗規模の新規出店により、営業収益は増収基調にある。しかし新規出店には相応のコストがかかり、収益性を改善しなければいずれは息切れすることになる。また、出店を拡大するなかでは中国の地方都市への進出も避けられないが、そこでは地方をホームグラウンドにするメイソウとの直接対決が待ち受ける。

ライター 牧野武文
ライター 牧野武文

 良品計画にとっては閉塞感が漂う状況ではあるが、まずは日中の価格差を解消しないことには、中国の消費者の見方が変わることはない。ブランド自体は高く支持されているのに業績につながらないという現状からの脱却を期待したい。

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