ベストバイ&ウォルマートが実践!物流・配送最新戦略とは
新型コロナウイルス(コロナ)禍で需要が急増しているEC市場。注文数が急伸する一方で課題となっているのが注文処理能力や配送効率の向上だ。米国ではリアル小売業もこぞってEC強化に動いているが、物流・配送面ではどのような取り組みが行われているのか。家電量販大手のベストバイ(BestBuy)と、リアル小売の巨人・ウォルマート(Walmart)の事例をレポートする。
ベストバイは店舗併設のMFCを拡大
EC需要の急増に伴い、店舗のフルフィルメント化が進んでいる。これに対応するため店舗内や隣接地にマイクロフルフィルメントセンター(MFC)を併設する動きがオンライングロサリー業界で顕著だったが、コロナ禍によって他業界にもこの動きが拡がっている。昨年12月、家電量販最大手のベストバイ(Best Buy)は、試験的に既存店を改装しECオーダー向けのMFCを設置すると発表した。
対象店舗は本社があるミネアポリス周辺の4店舗だ。店舗総面積は平均2508㎡だが、売場面積を総面積の55%に削減、残りのスペースをMFCに転換した。ノートパソコンや携帯電話など重要なカテゴリーの品揃えは変えず、そのほかのカテゴリーは人気商品に絞った。売場とMFCは大きな壁で仕切り、レジ、カスタマーサービス、店舗ピックアップカウンターはすべてその壁面沿いに設置している。
MFCではECの注文品のピックアップと出荷を行い、店頭には陳列されていない商品もストックする。今回MFCを設置した4店舗のうち1店舗では、家電製品の修理サービスを提供する「ギークスクワッド」という名のスペースを拡大した。
売場面積は約半分になったが、米国のチェーンストア業界では営業効率向上のため売場の削減や店舗の小型化が進んでいるため、店舗・EC両事業の活性化をめざす一石二鳥の戦略とも言える。
EC配送網の“ハブ化”する店舗
他方、ベストバイは昨年9月に米国内全店の約4分の1にあたる250店舗を、さらにその後の年末商戦中に90店舗追加し計340店舗を、通常店舗よりECの注文に対する処理能力を拡大すべく、機能を強化した。これらの店舗は「ハブ(hub)」と呼ばれ、ECにおける店舗からの出荷総数の70%以上を取り扱っている。
出荷については、インスタカート(Instacart)などオンデマンド配送サービス業者との提携を拡大し、ほぼ全店で多くの商品を即日配送している。また約450店舗では店舗の専任スタッフがクルマで顧客の自宅に商品を直接届けるというサービスも提供している。さらに年末商戦中はカーブサイドピックアップ(店舗の駐車場などで商品を受け渡すサービス)の受け取り時間を延長した。
加えて、ベストバイの店舗以外の代替ピックアップ拠点として、ドラッグストアのCVSファーマシー(CVS Pharmacy)、ホビー・クラフト用品店のマイケルズ(Michaels)、配送大手のUPSなどと提携し、計1万6000カ所で注文した商品を受け取れるようになっている。
ECシフトが奏功し業績にも好影響
ベストバイは
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