経営資源を「そこに集中?」スペイン百貨店ECIの戦略とは
近年、欧州では百貨店の経営破綻が相次いでいる。たとえば英国では、2018年8月にはハウス・オブ・フレイザー(House of Fraser)が、19年4月にはデベナムズ(Debenhams)が経営破綻した。ドイツでは22年11 月、業界最大手のガレリア・カウフホーフ(Galeria Kaufhof)が2度目の会社再生法の申請を行い、50店舗以上を段階的に閉鎖しているところだ。
こうした最悪の事態に至らないまでも、業績不振にあえぐ百貨店は少なくなく、回復の活路を見出そうといずれの企業も必死だ。
百貨店に分類されないが、英国の総合小売のマークス&スペンサー(Marks & Spencer)のように大型店を中心に不採算店を閉鎖し、小型店を開発することで業績回復に成功した企業もある。米国の百貨店大手のメーシーズ(Macy’s)も同様の戦略をとり、小型店の出店に躍起だ。
そんななかスペインとポルトガルで百貨店を展開するエル・コルテ・イングレス(El Corte Inglés:以下、ECI)は、これとはやや異なる戦略に乗り出している。食品を徹底強化することでグループとしての成長を図っている。
スペイン本社の小売グループのECIは、百貨店の「エル・コルテ・イングレス」のほか、「スーペルコル(Supercor)」をはじめとするスーパーマーケット(SM)を複数のブランドで展開。店舗ブランドごとにECを運営する。また、同グループは旅行業や防犯・警備事業も行っている。

23年2月期の収益は140億6872万ユーロ(約2兆2230億円)。そのうちの86.8%にあたる122億1330万ユーロ(約1兆9300億円)が小売売上高である。小売売上高は対前年度比7.8%増、EBITDA(利払い前・税引前・減価償却前利益)は同7.9%増だった。百貨店の売上高が落ち込んだコロナ禍からやっと成長軌道に戻りつつある状況である。
クリック&コレクトやクラブ会員制度も
ECIは23年9月20日、フランス本社のカルフール(Carrefour)に
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