各国での影響力が高まり続ける!躍進を続けるアルディとリドル

解説・文:松本 渉(ローランド・ベルガー パートナー)、速水 亘(ローランド・ベルガープロジェクトマネージャー)
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HDS成長の歴史

 今回取り上げるアルディ(Aldi)とリドル(Lidl)の2社は、ハードディスカウンター(以下、HDS)と呼ばれる業態を展開する。HDSとは、オペレーションの省人化や商品のプライベートブランド(PB)比率を高めることで、その名のとおり、一般的なスーパーマーケット(SM)などに比べ、低価格商品を提供する小売業態のことである。

アルディとリドル
今回取り上げるアルディ(Aldi)とリドル(Lidl)の2社は、ハードディスカウンターと呼ばれる業態を展開する。

 両社ともにドイツを出自としており、それぞれ1952年、73年にHDSの展開をスタートしている。現在では世界各国に進出しており、たとえばリドルを運営するシュバルツグループ(Schwarz Group)は世界小売市場でトップ10にランクインするなど、そのプレゼンスを高めている。

 こうしたHDSは、どのようにしてその地位を築いてきたのか。そこには、経済状況との密接な関係がある。たとえば、89年のベルリンの壁崩壊により、ドイツ国内での所得不均衡の発生や経済のグローバル化が進行し、中流階級が衰退し、低所得者層が増加。結果的にHDSという業態がより支持を得ることとなった。また、2002年にドイツの通貨がマルクからユーロに変更された際にも、消費減退が発生したことにより、低価格路線の業態は追い風を受けるかたちとなった。

 ドイツ国外でも、英国では物価上昇の煽りを受けアルディ躍進、22年に英国の小売大手4社、いわゆる「ビッグ4」の一角であるモリソンズ(Morrisons)の市場シェアを上回ったのは記憶に新しい。

 HDSは敢えて競合SMの近隣に出店し、顧客のスイッチングをねらう出店戦略をとっている。そうしたなか、英国のテスコ(Tesco)ではシェア奪還を図るべく一部商品をアルディと同一価格で販売する「アルディ・プライス・マッチ」キャンペーンを行うなど、HDSは大手小売の価格戦略に影響を与えるほどの強い力を持つようになっている。

欧州各国でのプレゼンスは年々拡大

 このように、その時代ごとに人々の消費行動の変化を取り込み成長してきたHDSだが、近年はどのような市場で成長を示しているのか。

 図表は13年と22年の各国の小売業態の特徴を表し比較したもの

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