アマゾンに対する、ウォルマートの絶大なアドバンテージと今後の成長戦略とは
DX戦略の根幹にあるコアバリュー
世界最大の小売企業であるウォルマート。2022年1月期の売上は5728億ドルで、日本のGDPの10%程度に匹敵する売上をウォルマート1社で創出したことになる。
そうしたウォルマートの絶対的な地位確立に大きく貢献してきたのがリアル店舗であることに疑いはない。しかしながら、アマゾンなどEC企業の台頭やコロナ禍での競争環境の変化にも巧みに対応し、デジタルテクノロジーを活用しながら自社のビジネスモデルを変容させてきたことも、事業規模拡大に大きく貢献している。
そうしたウォルマートのDX戦略を紐解くうえで、同社のコアバリューとそれを支える強みを理解する必要がある。
ウォルマートのミッションは“We Save People Money So They Can Live Better(お客さまに低価格で価値ある買物の機会を提供し、より豊かな生活の実現に寄与すること)」である。そして、このミッションを実現するために構築したビジネスモデルがスーパーセンター(SuC)型のリアル店舗とEDLP(エブリデー・ロープライス)を可能とするオペレーションの構築である。これにより、消費者は衣食住あらゆるライフスタイルに必要となる商材を、ワンストップで安価に手に入れられるようになったのだ。
つまり、ウォルマートは「お金と時間のかからない買物機会」という提供価値を明確化し、その実現のためのビジネスモデルを徹底的に追求・アップデートすることで成長してきた。この強力なリアル店舗網と製販一気通貫の効率的なオペレーションが、ウォルマートにとって最大の資産となっているのである。
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