インフレ深刻化で追い風、米国で躍進する「ディスカウンター」の最新戦略

経済活動の再開が進む米国だが、消費マインドは必ずしも上向いてはいない。消費者の景況感を指数化した3月のミシガン大学消費者信頼感指数は前年同月よりも25.5ポイントも低下。一方で消費者物価指数は22年2月には対前年同月比7.9%増を記録した。こうしたデータから、今後も「低価格」は消費を誘引する主要な要素であるといえる。そうしたなかで注目したいのが、ディスカウンターの経営戦略。本稿では、注目3業態の代表的企業の最新動向を整理する。
ハードディスカウンター(HDS)
オンラインの強化に動くアルディとリドル
HDSの代表的な企業の1つが、ドイツ本拠のアルディ(Aldi)だ。同社は22年2月時点で米国38州に2100店舗以上を展開する。年内に約150店舗を新規出店する計画で、そのとおりにいけば、今年中に店舗数では米国で3番目の食品小売企業になる見込みだ。
アルディが最も出店に力を入れる地域がメキシコ湾岸エリアである。アラバマ州ロクスリーに5万2000㎡の広さの配送センターを建設中で、同センターは、ルイジアナ州、アラバマ州、ミシシッピ州、フロリダ州北西部に新規出店予定の100店舗分の商品供給をまかなう。

HDS市場でアルディと肩を並べる、同じくドイツ系のリドル(Lidl)は現在、米国では東海岸の9州に計150店舗ほどを展開するにとどまっている。20年8月に発表した、21年末までに50店舗を新規出店するという出店戦略はほぼ計画どおりに進行。しかし足元では、22年秋にワシントンD.C.に初出店すること以外の出店計画は未発表のままだ。
アルディもリドルも、リアル店舗のみならずオンラインにも新たな軸足を置きつつあるが、2社の方向性はやや異なる。たとえばアルディは配達よりもカーブサイド・ピックアップ(ネットで注文した商品を駐車場など店頭で受け取れるサービス)を強化する考えで、22年末までに対応店舗を1500店舗ほどに増やす計画である。
一方のリドルは自社アプリ「マイリドル(myLidl)」の会員向けにオンラインで購入した場合3%の割引を適用。購入金額や頻度に応じてさらに特典を付与するなど、サービス面の拡充を進めている。
なお、購買データ分析のダンハンビーが毎年発表する「小売企業の選好指標:食品小売」の価格部門で、21年にアルディは
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