失業率8月は2.8%で横ばい、コロナ影響残る 有効求人倍率は低下
[東京 1日 ロイター] – 総務省が1日発表した8月の完全失業率(季節調整値)は2.8%で、前月(2.8%)から横ばいだった。新型コロナウイルス感染症対策で緊急事態宣言の対象地域が拡大されたため宿泊業・飲食サービス業では雇用に慎重な動きがうかがえるが、医療分野などでの雇用は堅調だった。厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍で、前月から低下した。
失業率、コロナの影響が依然顕著
完全失業率は、ロイターの事前予測調査で2.9%が予想されていた。
総務省の担当者は「新型コロナウイルス感染症の影響は引き続き大きく表れているので、今後も十分に注視が必要」との見通しを示した。
就業者数(季節調整値)は6676万人と前月に比べ32万人減った。一方、完全失業者数(同)は191万人と前月から1万人増加した。内訳では「自発的な離職(自己都合)」は4万人の増加、「非自発的な離職」は5万人減少した。
原数値では、就業者数は前年同月比17万人増の6693万人と、5カ月連続の増加となったが、コロナ前の2019年同月と比較すると58万人減少している。
有効求人倍率、戻りは鈍く
8月の有効求人倍率は、前月から0.01ポイント低下した。1倍は超えているものの、コロナの流行前が1.5─1.6倍台で推移していたことを踏まえると戻りは鈍い。
ロイターの調査でも1.14倍と予想されていた。
有効求人倍率は仕事を探している求職者1人当たり、企業から何件の求人があるかを示す。求人、求職はともに3カ月間有効で、今回は6、7、8月の動きが反映されたものとなる。
有効求人(季節調整値)は前月に比べて1.2%増。リモートワークの広がりなどで住宅需要が高まっている建設業や、5G関連、ゲーム機向けの電子機器類を手掛ける製造業などが求人の増加に寄与した。
一方、有効求職者数(同)は2.2%増。コロナワクチンの接種を終えた高齢者などで求職活動を再開する動きが出たのではないかとみられている。