西友のオリジナルスイーツ「ジュテ・アン・ソール」 誕生と拡大の舞台裏

文・構成:編集プロダクション雨輝
取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

「日常に美味しさの魔法を」をコンセプトに、西友(東京都/楢木野仁司社長)が展開するオリジナルのチルドスイーツ「ジュテ・アン・ソール(Jeter Un Sort)」シリーズ。販売開始から1年半余り、食品スーパーで手に入る価格でありながら、ご褒美感のあるスイーツを提供し支持を集めてきた。誕生の背景から商品開発の手法やコンセプト、今後の展望について取材した。

ジュテ・アン・ソール

手頃な価格と本格志向を両立したスイーツシリーズ

西友 商品戦略本部 商品ディビジョンデイリー食品部 部長 内野正徳 氏

 西友がジュテ・アン・ソールの開発に乗り出したのは2023年のこと。きっかけとなったのは、デザートの製造販売を行うモンテール(埼玉県/鈴木徹哉社長)が毎年発表している「スーパー・コンビニスイーツ白書」で明らかにされた、「消費者がスイーツを購入する場所として食品スーパーが複数年連続で1位」という事実だった。

 商品戦略本部商品ディビジョンデイリー食品部部長の内野正徳氏は、「(同白書では)スイーツの約35%が食品スーパーで購入されていることもわかった。お客さまにとって食品スーパーのスイーツ売場は魅力的な存在なのだと感じた」と語る。

西友 PB開発本部商品物流本部 商品開発室・統括 石井綾氏

 節約志向が続く中でも、スイーツは「プチ贅沢」としてのニーズが底堅いカテゴリーだ。内野氏は「日常的に来店されるお客さまが無理なく手に取れる価格帯で、特別感を感じられるスイーツの開発をめざした」と話す。しかし、PB開発本部商品開発室・統括の石井綾氏は「お客さま一人ひとりの“ご褒美”のイメージは多様であるため、商品づくりは容易ではなかった」と振り返る。

 消費者の多様化する価値観を探るべく、商品開発チームは数多くのスイーツを食べ比べ、試作を繰り返した。試行錯誤の末、「手頃な価格で価値ある本格志向」をコンセプトに据えたオリジナルスイーツとして、「ジュテ・アン・ソール」シリーズが誕生した。

消費者テストで80%以上の支持率を得たものだけをPB化した「みなさまのお墨付き」

 同シリーズの開発には、西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き」の開発担当者も加わった。「みなさまのお墨付き」は、消費者テストで高い評価を得た商品だけを発売するという厳しい基準の開発体制を貫いてきたブランド。これまで価格・品質・差別化のバランスを追求してきた経験を持つチームが関与することで、よりクオリティが高く、消費者ニーズに合ったオリジナルスイーツの開発が実現された。

 さらに、一つ星レストラン出身のパティシエを監修に迎え、専門店レベルの本格的な味わいを再現した。

 

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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