創業70周年! チルドスイーツの老舗・モンテールの商品が愛されるワケ

吉牟田 祐司
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甘いものが無性に食べたくなる。そんな時、癒しを求めて、つい手に取ってしまう――。スーパーやコンビニで手軽に買えるチルドスイーツを重宝している人は多いのではないか。シュークリームやプチシューなど販売から約30年近くも売れ続けるロングセラー商品を生み出し、チルドスイーツでトップクラスのブランド力を誇るモンテール(埼玉県/鈴木徹哉社長)が創業70周年を迎えた。その強さの秘密、長く愛される理由はどこにあるのか。

節約志向の反動からの“ご褒美消費”

 チルドスイーツを製造・販売するモンテールでは、2007 年より毎年「スーパー・コンビニの洋生菓子」に関する意識や行動の調査を実施、この調査の経年変化など、スイーツに関する調査結果をまとめた「スーパー・コンビニ スイーツ白書」を2020年より発表している。25年の最新版によると、スイーツ購入場所のトップ5は前年と変わらず、スーパー、コンビニ、専門店、ドラッグストア、百貨店の順。11年連続でスーパーが1位となった。1商品あたりに使う金額は過去最高を記録した23年から6円下がって219円だが、過去12年間でもっとも低かった16年と比較すると29円増加している。

 スーパー・コンビニで売られるスイーツの消費トレンドについて、モンテール企画開発部の上総壮介氏は「ここ数年で大きく変わっているわけではないが、消費の二極化は進んでいる」と話す。コロナ禍、そして23年夏から24年初めにかけては鳥インフルエンザの流行で卵の価格が高騰する「エッグ・ショック」が発生、今も物価の上昇は止まらない。そんななか、「節約志向は確かに強まっている。しかしその一方、ガマンばかりしていてはストレスが溜まるため、その反動としての“ご褒美消費”の傾向も見られる」と上総氏は指摘する。

ゴディバとコラボレーションした「プレミアムショコラのプチシュー」

 25年5月に1カ月間限定で販売されたゴディバ監修の「プレミアムショコラのプチシュー」と「プレミアムショコラのプチエクレア」は、まさに“ご褒美消費”にふさわしい商品といえる。

 また健康志向の高まりを受けて、15年から販売する「こころ からだ おもい」シリーズは、一般社団法人食・楽・健康協会のお墨付きを示すロカボマークが付く、糖質が10g以下に抑えられた商品だ。「会社が『おいしい・やさしい・たのしい・うれしい』を追求する中、1人でも多くの人に食べてもらいたいという思いのもと、甘いものを食べたくても糖質を制限されていて食べられない人に目を向けて開発した」と上総氏。

糖質を抑えた「こころ からだ おもい」シリーズのどら焼き
糖質を抑えた「こころ からだ おもい」シリーズのどら焼

 ラインナップは、プチシュー、プチエクレア、どら焼。日本食品標準成分表(20年版)からの計算値では、糖質10gはショートケーキ約1/4個分、どら焼約1/3個分にしかならないため、うしろめたさを感じることなく楽しめる。

 原材料、資材、エネルギーすべての価格が上昇傾向にあり、モンテールでも23年に価格改定に踏み切ったが、売上が落ち込むことはなく、微増ながらも着実に増加傾向という。好調の要因について、「安心・安定を求める方が、信頼できる商品に手を伸ばされているのではないか」と上総氏は分析する。“ご褒美消費”に対応する付加価値のある商品の開発に力を入れ、市場に送り出しているだけでなく、モンテールでは、お手軽に楽しめる定番の商品をずっと出し続けている。そこで、まず考えるのが「味・おいしさ」であり、当然、妥協せずこだわっている。

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