35歳で決まる? 出世レースのリアルとその先の運命
東レ経営研究所(東京都/髙林和明社長)元社長で『ビッグツリー 私は仕事も家族も決してあきらめない』(2006年6月 WAVE出版)や『そうか、君は課長になったのか。』(2010年3月 WAVE出版)などのベストセラーを持つ故佐々木常夫さんによれば、大手企業においては大体35歳までに同期入社の出世レースの雌雄は決しているという。

社長になるためには「運」も重要?
その時点で、肩書き的な格差はなくても、人事部の閻魔帳には、大きく記されており、そこからはまず逆転不可能。本当にまれにまれに、地味にコツコツ仕事を積み重ねた人が、“遅咲きの大輪”として40代以降に、現れる例外があるくらいなのだという。
佐々木さんの言うように、幹部候補生の選別レースは、本当に35歳くらいまでに決しているのだろう。
だが、その先、すなわち多くの同期の中でふるいにかけられた数%の逸材の中から、社長はどのように決められるのだろうか?
建前なら、業績考課などの人事制度はそのためにあると言ってしまっていいだろう。実際、人事制度とは「10年に1人の社長をつくりだす仕組み」と習ったものだ。しかしながら、「そんな企業はほとんどないような気がする」と先日社長になった友人に話してみると、「何よりも運によるところが大きいよ」と教えてくれた。
「ゴール前に偶然立っていたら、そこにドンピシャのクロスボールが入ってきて、シュートに成功したようなもんだよ。たまたま空きができた時に、最適な位置にいただけ………」。また、「優秀な上司に付き、覚えがよかったことも大きかった」と振り返った。
友人の言葉には多大に謙遜も含まれているようにも思える。けれども一方で会社というのは本当に不公平な場所だとも思える。
偶然の空席や選ぶことのできない上司の浮沈が自分の命運にかかわってくる。さらに言うなら「好き嫌い」で人事が決まってしまうことも少なくない。
とはいうものの、嘆いてばかりいても埒は開かない。
もし、出世したいと真剣に考えているのであれば、まずは35歳までの幹部候補者の選別レースで勝ち残る努力をしなければいけない。