株主総会迫る……ツルハはアクティビストの攻勢を無事乗り切ることができるのか

棚橋 慶次
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気になるイオングループの動静

 強気の構えを崩さないのは、「イオングループの存在があるからだ」ともささやかれる。イオン(千葉県)のツルハホールディングスの持ち株割合は13.59 %(2023年5月期第2四半期の四半期報告書より)でオアシスを上回る。イオンがツルハ側につく限り、オアシスの株主提案が通る見込みは限りなく低い。

 それに、業績もガバナンス面も“合格点”をあげているツルハ経営陣を見捨てることは大義名分が成り立たない。イオンが株主提案に賛成票を投じるとは考えづらい。

 では百戦錬磨のアクティビストは、敗けるとわかって闘いを挑んだのか。

 ご存じの通り、ドラッグストア業界の首位を走るウエルシアホールディングス(東京都:以下、ウエルシア)は、イオンの連結子会社であり、イオンによる支配関係はツルハよりも強い。イオンがドラッグストア再編に動く可能性はあるのか。

 イオンはかねてより北海道エリアへの進出強化に強い関心を示してきた。四半世紀前、旧ジャスコは北海道では無名の存在だったが90年代に札幌フードセンター(後のマックスバリュ北海道、現イオン北海道)と合弁で食品スーパー企業の北海道ジャスコを設立。現地に足がかりをつけた。また同時期に旧ホーマック(現DCM、当時の社名は石黒ホーマ)と資本・業務提携を結ぶなどしている(現在もDCMホールディングスの株4.1%を保有)。

 それでも2000年ごろまでは北海道ではほぼ無名状態だった「イオン」「ジャスコ」。2000年10月に道内初のイオンモール「イオンモール釧路」を開業を皮切りに、「巨艦店攻勢」をかけ、大型ショッピングモールを次々オープンさせた。さらには「反イオン」筆頭のポスフール(旧マイカル北海道)をも呑み込み、イオン北海道の礎を築く。現在では、北海道においてゆるぎない地位を築いている。

 一方、ドラッグストア業態に目をむけると、道内シェアはツルハが5割近いシェアを握るとされ、以下、サツドラホールディングス(北海道)、サンドラッグ(東京都)と続き、全国区のウエルシアは大きく水をあけられている。イオンとしても稼ぎ頭の1つであるドラッグストア事業をさらに成長、発展させたいとは考えているだろう。

 となると、オアシスの今回の株主提案が、果たして大株主たちの賛同を得られる見込みもないまま闘いを挑んだのかどうかという点が焦点となろう。その意味で、8月に予定される株主総会は“最終決戦”ではなく、長い闘いの序章になることさえ考えられる。ツルハは、株主総会を乗り切った後も、資本政策見直しや競合との業務・資本提携といった対策が迫られるところだ。

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