バローHD小池孝幸社長が語る「1.2兆円」の絵を描く、成長戦略の中身とは

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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食品スーパー(SM)、ドラッグストア(DgS)、ホームセンター(HC)といった小売3業態を主力に、各種製造、卸売など幅広い事業会社を擁するバローホールディングス(以下、バローHD)。「製造小売業」を志向するユニークなビジネスモデルを展開、東海地方を拠点に店舗網を広げ、躍進を続ける。今後の展望、戦略などについて、2023年6月に取締役社長に就任した小池孝幸氏に尋ねた。

決断の“圧”が大きく異なる

──今年6月、バローHDの社長に就任しました。昨年8月の社長代行を経ての現職、心境は違いますか。

バロー取締役社長 小池孝幸氏
小池孝幸(こいけ・たかゆき)
●1972年9月20日生まれ。名古屋大学文学部卒業後、95年4月、バロー(現バローHD)入社。社長室長、物流部長などを経て、2018年4月、中部興産代表取締役社長(現任)。19年1月バローHD IT戦略室長兼情報システム部長、同年6月取締役(現任)。20年4月流通技術本部長兼システム部長(現任)、22年8月社長代行、23年6月取締役社長(現任)。23年8月バローフィナンシャルサービス代表取締役社長(現任)、ルビット事業部長(現任)

小池 経営戦略や人脈の広がりなどには変化はありません。しかし、実際に社長になった今思うのは、決断するときに感じる“圧”がまったく異なるということ。方針を打ち出す前、本当にこれでよいのかと自問自答し、さらに深く考えるようになりました。

──田代正美会長とはどんなコミュニケーションをとっていますか。

小池 戦略面を中心に、よい関係で議論させてもらっています。時には私の仮説を題材に、会長の考えを吸収しながら、より効果的な事業展開の手法について意見交換しています。

──さてバローHDは岐阜県を拠点に、SM、DgS、HCの3業態を主力として多様な事業を展開しています。現在の経営環境についての認識を教えてください。

小池 第一は、値上げ基調が厳しく、そこに電気や水光熱、労務管理といった各種の間接コスト高騰も重くのしかかっています。値上げの推移を追うと、今年春まではお客さまも「やむなし」といった反応だったのが、6月以降は価格転嫁や便乗値上げを非難する「強欲インフレ」という言葉が聞かれるようになりました。ガソリン価格高騰もあいまって、お客さまの余裕は確実になくなってきているとみています。それもあって、夏後半からはますます消費の冷え込みが起こるのではと危惧していましたが、当社では売上も堅調に推移しています。一方、外食産業も取引先さまからは上向きと聞いています。

 つまり

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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