「大ディスカウント時代が到来」 この意味が分からないアパレルの未来は悲観的な理由
![35mmf2/istock](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2023/01/iStock-1411915365.jpg)
いわゆるLTV (顧客生涯価値、商品粗利 x セット率 x 年間購買頻度
この「初期的にクーポンやキャンペーン、ディスカウントをバラマキ、顧客を自社ブランド内に囲い込んで、LTVを上げる施策を打つ」という施策をEC企業以外のアパレル企業は理解してないように思う。
顧客を囲い込む必然性は「少子化」にある
顧客を囲い込む必然性は、「少子化」にある。
需要が供給を上回るときは、商品(製造拠点を含む)を押さえ、商品を安く思い通りに作れば山のように利益が落ちた。1990年のアパレル黄金期のプロパー消化率は95%といわれている。つまり、値引きという概念がなかったのだ。商品回転率、商品粗利、商品原価率など、供給側の「商品」をベースにつくられた今のKPIは、このときにできた。
商品軸の経営を突き詰めたときに出てきた言葉がSPAだ。この言葉を日本人は「製造小売」と誤訳してしまった。そして、自ら店舗オペレーションに力を入れるも、「ものづくりはよくわからん」と、商社に丸投げし「なんちゃって製造小売」が量産されることとなる。店頭と工場が連動して動くどころか、商品投入だけは1990年の手法をそのまま使い、マーケットも顧客も見ぬままセンター倉庫に商品をぶち込んだわけだ。
しかし、そもそも、マーケットサイズが100しかないところに、120や150の商品を投入しているのだ。どれほど腕のよいマーケターであっても、供給過剰の商品を完全に売り切ることなどできるはずなどない。だから、1990年から市場が右肩下がりに減少しても、余剰在庫は山のように増え続けていったのである。
需要が縮小し供給過多となり不可逆的にこのトレンドが進行する今
河合拓氏の新刊、大好評発売中!
「知らなきゃいけないアパレルの話 ユニクロ、ZARA、シーイン新3極時代がくる!」
話題騒然のシーインの強さの秘密を解き明かす!!なぜ多くのアパレルは青色吐息でユニクロだけが盤石の世界一であり続けるのか!?誰も書かなかった不都合な真実と逆転戦略を明かす、新時代の羅針盤!
河合拓のアパレル改造論2022 の新着記事
-
2023/01/24
「大ディスカウント時代が到来」 この意味が分からないアパレルの未来は悲観的な理由 -
2023/01/17
H&MやZARA等が原価下回る価格で取引を強要 SDGs時代にこんなことが起こる必然の理由 -
2023/01/10
ビッグデータを制する企業が勝利する理由と、M&Aできない企業が淘汰される事情 -
2022/12/27
2023年のアパレル大予測 外資による買収加速・DX失敗・中国企業に完敗、が起こる理由 -
2022/12/20
中国企業傘下の仏メゾン「ランバン」米国で上場 いまや中国企業に追いつけない理由 -
2022/12/13
過去のヒットからAIが予測し売れる服を自動生成!?アパレル業界の課題とこれからとは
この連載の一覧はこちら [55記事]
![河合拓のアパレル改造論2022](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2022/01/kawai_2022_main.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=e9dc3f80edc0322e9898e59423e5b4dc)
関連記事ランキング
- 2024-06-25「パリコレ」にアパレル業界人が行かなくなった理由
- 2024-06-11日本人の服がこの10年で「ペラペラ」になった本当の理由
- 2024-06-19インバウンドで最高益続出!日本人が知らない「百貨店の価値」とは
- 2024-07-02日本人が大好きな衣料品セール 安く買うのが難しくなる理由とは
- 2024-06-04定番はユニクロ、ファッション品はシーイン…どうなる日本のアパレル
- 2024-07-09あなたの会社も要注意!「善意の行動」が仕組みを破壊するメカニズム
- 2023-01-06SHEIN TOKYO「売らない店」現地レポート!担当者が明かす、低価格3つの理由とは
- 2024-07-12値下げ率大きいユニクロと値下げ率小さいしまむら どちらが高収益?
- 2024-06-24業態別 主要店舗月次実績=2024年5月度
- 2024-06-20店舗回帰で変貌!OMOが帰着する「ローカルロジスティクス」とは