ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営33 SCに差別化は不要 4タイプ別の競争戦略とは
前回「SCは差別化を狙うな」と主張し、「差別化」は間違った戦略であることを解説した。今回改めてSCの競争戦略を体系化して伝えるとともに、唯一、特定のSCの立ち位置においてのみ競争戦略が有効であることを解説したいと思う。

差別化への過信
マイケル・ポーターが指摘した競争戦略は、広大なアメリカの大地において大量の消費財の流通・消費を前提にした時、その力を発揮する。しかし、ショッピングセンター(SC)は地域性の強いビジネスである。特に日本のSCの商圏は、食品スーパー(SM)を中心としてネバフッド型SC(NSC)で車で10分圏、リージョナル型SC(RSC)でもドライブタイム30分~40分が精一杯だ。
刺身を食べる国民が1時間も2時間もかけて車で食料品を買い物に行くのは現実的ではない。GMS単体では商圏1.5kmと言われるぐらい日本の商圏範囲は狭い(具体的な距離は立地環境や道路付きで大きく異なる)。そのくらい買い物場所と住まいとが近接しているわけだ。そのため、1次商圏、2次商圏、3次商圏にあるニーズこそが各SCにとって、全ての成功の根源になる。

要するに競合との差別化よりも、商圏に存在するニーズとウォンツにこそフォーカスすべきなのだ。
小商圏型SCの戦略
これまで我々が机上で学習をしてきたマーケティング理論の「R-STP-MM4P-I-C」*の手順に異論は無い。ただ、SCという地域性の強いビジネスにおいて、限られた商圏という概念は一般的なマーケティング理論において、これまであまり目にしてきていないのでは無いだろうか。
*[R] Research(市場調査)
[STP] Segmentation, Targeting, Positioning(市場分割、ターゲティング、ポジショニング)
[MM4P]Marketing Mix(マーケティングミックス)、4P(製品・価格・チャネル・プロモーション)[I]Implementation(実行)、[C]Control(管理)
しかし、SCには商圏が存在し、前述の通り、着目する範囲(立地、地域、エリア等)は限定される。ということは、そこに存在する競合相手を考えることも重要であるものの本当に重要なのは、商圏に在住する消費者とSCに来店(来場)する顧客にある。とするとポーターの基本戦略(図表2)はあまりに大雑把であり、日本のマーケットではもう一工夫が必要になることが分かってくるだろう。

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