アパレルビジネス一変!「コストダウン」から「調達コスト無料化」へ進む衝撃の近未来とは
これからのビジネスは、サービスは無料でコストは他社から奪うGoogleモデルになる
GAFAMと呼ばれる米国5大プラットフォーマーの1つGoogleは、類まれなるソフトウエアを我々に惜しみなく無料で提供してくれていることに疑問を持った人はいないだろうか。
Googleのポータルページを見ても、質素な検索窓があるだけで、広告公害やサブスクリプションへの誘導も見られない。その一方でGoogleは、我々の気づかないところで我々を囲い込み、広告収入を得ながら世界のプラットフォーマーとなっている。今、ほとんどの企業においてビジネスソフトウエアは、MicrosoftのOfficeがデファクトだが、Googleドキュメント、スプレッドシートやプレゼンソフトを使うスタートアップは多いし、私も最近はもっぱらGoogleのOfficeソフトを使っていてなんの不便もない。Googleがうまいのは、こうしたツールにあからさまに広告を掲載したり、有料化を迫ったりしていないことだ。だからGoogleのサービスはどんどん広がってゆく。
この、Googleモデルは、圧倒的コスパ、つまり、世界最高のサービスは無料でありながら収入は他社から得るというものだ。これを、コスト競争が激しいアパレル業界に当てはめると、すでに限界まで達した南下政策は、Googleモデルに移行するというのが私の視点だ。 例えば、今後、ECが拡大すればCPA(顧客獲得費用)が発生するが、例えば、ZOZOスーツのように膨大な開発費用をかけたスーツを無料で配るのなら、ミツフジの繊維を使った服を有料で販売すれば良い。CPAのC、つまり、Costはゼロとなる。銀の加工技術を合繊繊維に組み込むことができれば、そして、それを体にフィットするユニフォームや下着だけでなく、一般衣料品に組み込むことができ、また、その計測精度が高まれば、世界のアパレル産業はひっくり返るだろう。こうなれば、調達コストは有料のAcquisition costとなり、消費者はお金を払って企業に人体データを提供するということになり、実質的な調達コストはゼロになるどころか、マイナス(利益がでるという意味)にさえなり得る。
早くも3刷!河合拓氏の新刊
「生き残るアパレル 死ぬアパレル」好評発売中!
アパレル、小売、企業再建に携わる人の新しい教科書!購入は下記リンクから。
河合拓のアパレル改造論2021 の新着記事
-
2022/01/04
Z世代の衝撃#4 Z世代を追えば敗北必至!取るべきトーキョー・ショールーム・シティ戦略とは -
2021/12/28
Z世代の衝撃#3 既存アパレルが古着を売っても失敗する明確な理由とは -
2021/12/22
インフルエンサー・プラットフォーマー「Tokyo girls market」驚異の戦略とは -
2021/12/21
プラットフォーマー起因の歪な過剰生産が生み出す巨大ビジネス、SheinとShoichi -
2021/12/14
Z世代の衝撃#1 ライブコマースで「インフルエンサー・マーケティング」が失敗する衝撃的理由 -
2021/12/07
TOKYO BASEがZ世代から支持される理由と東京がショールーム都市になる衝撃
この連載の一覧はこちら [56記事]
関連記事ランキング
- 2024-08-20売上100億円の超高収益アパレルが増殖の理由とユニクロとの共通点
- 2024-08-27好調アパレルに異変?在庫回転率悪化の複数要因とファストリ改善の理由
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2024-09-10アパレルのいまを全解説!GU、しまむらとシーインを比較してはいけない理由
- 2024-08-21アパレル業界再編のトリガーは?A.T.カーニー福田稔氏が見通す
- 2024-09-09小売業売上トップ10企業の2024年の最新戦略まとめ ドラッグ4社ランクイン!
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェース依存めざす理由と新戦略の評価
- 2024-09-12海外事業好調のファストリが首位独走!アパレル売上高ランキング2024
- 2024-09-02SPAか仕入れか?チェーンストア衣料品が選ぶべきは「しまむら型」である理由
- 2024-07-23ユニクロに通じる…ファミマが検討中の衣料専門店が「台風の目」になる理由