加藤産業・加藤和弥社長が語る「市場縮小時代の企業成長」とは
加工食品、飲料はじめ幅広いカテゴリーの卸売を手掛ける加藤産業(兵庫県)。力を入れる「提案型営業」が支持を獲得、コロナ禍でも業績は堅調に推移する。国内は人口減少が進むが、付加価値を生む中間流通業の新たな機能、活動を追求、さらなる成長をめざす。加藤和弥社長は「さまざまな施策を通じ、当社がミッションに掲げる『豊かな食生活』の実現に向け努力したい」と話す。
営業の成功事例を共有
──ここ数年、業績が伸長しており、好調です。直近の2021年9月期第3四半期決算は、売上高が対前期比2.1%増、経常利益同0.3%増でした。
加藤 毎年、事業を拡大していますが、20年から21年にかけてはコロナ禍が続く影響もあり、それを差し引くと決して好調とは考えていません。
卸売業のビジネスモデルはシンプルで、売上高、粗利益高を伸ばしながら、経費をいかに下げるかが重要。その点、幸いなことに成長する小売業との取引をさせていただいていることで売上高が拡大。粗利益については、以前から掲げている「提案型営業」が浸透したことで成果が出ています。経費は、物流費を中心に上昇傾向にありますが、働き方改革や生産性向上を進めたことでコストを抑えられています。
また数年来、大きな価格改定も少なかったこともあり、卸売業にとっては波風の立たない環境が続いたことも大きい。そこへコロナ禍によって食品の内食需要が拡大したことが追い風となり、結果として業績が堅調に推移していると分析しています。
──提案型営業とはどのようなものですか。
加藤 当社の営業担当者が、各得意先の担当者として、その企業の方針や要望を理解したうえで、有効な商品や売場を提案するというものです。
効率的な提案のため、当社は「提案型営業成果発表コンクール」を開いています。日々の営業活動の中で生まれた成功事例を発表する催しで、人材育成のねらいもあります。これまでに多くの事例、資料が蓄積、各営業担当者はそれらをベースとし、自分の仕事にカスタマイズするという仕事のスタイルが定着してきました。
──さて現在、加藤産業が事業展開にあたって目標とすることは何ですか。
加藤 17年に創業70周年を迎えたのを機に、グループミッションを定めました。テーマは「豊かな食生活」。それを提供することで、人々が幸せになることに当社が貢献するという内容です。経営環境は厳しさが増していますが、さまざまな施策により実現をめざします。
開発者も商談に参加
──提案型営業について、詳しく聞かせてください。営業担当者が、小売業のバイヤーの要望を聞いて提案する場合、より上位にある企業レベルの戦略とはいかに整合性をとりますか。
日本の卸売業150社ランキング の新着記事
-
2021/10/15
加藤産業・加藤和弥社長が語る「市場縮小時代の企業成長」とは -
2021/10/15
大手卸PALTAC、トラック待機時間から小売店の品出し時間まで削減! サプライチェーン全体の最適化を進める -
2021/10/14
日本の卸売業150社ランキング!コロナで沈んだ卸、浮上した卸は?山積する課題とは? -
2021/10/14
大手食品卸の日本アクセスが「総菜とEC」を強化する理由と勝算とは 佐々木淳一社長が語る
この特集の一覧はこちら [4記事]
関連記事ランキング
- 2023-11-01日本の卸売業150社ランキング2023を一挙公開!各社業績は軒並み好調
- 2023-01-06グループシナジー創出にセブン&アイとの連携強化……三井物産が描くリテール戦略のすべて
- 2021-07-16伊藤忠、容器循環プラットフォーム運営のループ・ジャパンと資本・業務提携
- 2024-09-30100兆円市場誕生!食品卸、市場規模&市場占有率2024
- 2024-10-15食品卸の老舗「日本アクセス」がAI・DX領域に新進出。“卸”だからこそできるDX戦略とは
- 2021-04-20グローバルSPAと真逆の理由でSDGsを強化するスーパーブランド、その隠された高収益の真実
- 2021-08-10独メトロ、日本からの撤退を決定、10月末までに全事象を終了
- 2022-01-19「デジタル化と小売業の未来」#16 D2Cが進むと卸・小売の従来の商習慣はどう変わる?
- 2022-05-25店舗アプリ向けWEBコンテンツ「運を取り込む幸せメニュー占い」提供開始=国分グループ本社
- 2022-10-1412 年ぶりに過去最高益の国分グループ本社 新たなビジネス創出する「共創圏」づくりとは