三菱食品、4期連続の過去最高益更新 三菱商事が完全子会社化に向けTOB実施のねらいとは
食品卸大手の三菱食品(東京都/京谷裕社長)は5月8日、25年3月期決算を発表した。主力の卸売事業が堅調に推移したほか、採算の見直しを図ったことによる粗利益高の増加により、増収増益を達成した。また、同日に親会社である三菱商事(東京都/中西勝也社長)は三菱食品の完全子会社化を目的とした普通株式のTOB(株式公開買付け)の実施を決議した。三菱食品はこの決議に賛同を表明。三菱商事の経営資源を活用して、経営計画「MS Vision 2030」の早期実現をめざすねらいだ。

4期連続で過去最高益を更新
三菱食品の2025年3月期通期決算は、売上高2兆1208億円(対前期比1.6%増)、営業利益316億円(同6.9%増)、経常利益333億円(同6.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益232億円(同2.6%増)と増収増益を達成。営業利益以下の各段階利益はいずれも4期連続で過去最高益を更新した。
期中は物流費や人件費の上昇、一部海外関連会社での一過性損失の発生によりコストが上昇したものの、卸売業の売上高増加や採算性の改善によって粗利益高が増加。結果として増益で着地している。
セグメント別でみると、卸売事業が売上高の約9割を占める。とくにコンビニエンスストアやディスカウントストアとの取引が堅調に推移し、売上高は同1.2%、経常利益は同9.0%の増加となった。物流事業は一部小売業との取引拡大により、売上高・経常利益ともに増加。ブランド開発事業は、売上高は増加したものの、輸入商品の在庫処分による利益率悪化が影響して経常利益は減益となった。また、機能開発事業はメーカーに対する原材料取引の好調により増収となったが、海外関連会社で一過性の損失が発生した影響により経常利益は減益となった。
売上高を品種別で見ると、高い伸び率を見せたのは冷凍・チルド食品類で、同4.8%増と好調だったほか、イベント行楽需要の回復などが下支えして菓子類も同3.9%増加と高い伸びを示している。