少子化でも成長の余地はある!西松屋チェーン大村禎史社長インタビュー
──家電製品とベビー・子供用品とではまったく分野が違います。
大村 彼らも最初は「自分にできるだろうか」と思っていたようです。しかし、私も技術者出身なのでわかるのですが、モノづくりの基本は同じなのです。商品の仕様書を作成するところから、品質、数量、納期を管理する流れに沿って開発していけば、分野の違いは問題ではありません。
──具体的にこれまでどのようなPBを開発しましたか。
大村 最初の商品は10年に発売した、「スマートエンジェル」のブランド名で展開するベビーバギーです。当時、高級ブランドの商品でも、指を挟み、けがをする事故が多発し、大きな問題になっていました。当社では、そういった事故が起こらない商品をめざし開発をスタートしました。金属部品の角度を工夫することにより、安全に開閉できる商品を実現させました。大きめのタイヤを採用することで乗り心地もよくし、また紫外線をカットする幌もつけました。
発売直後から評判も上々で、その後モデルチェンジを経て、16年には「バギーfanロングプラス」というシリーズで「グッドデザイン賞」を受賞することもできました。
──特定の機能に絞って開発しているのですか。
大村 日本の家電メーカーは多機能にこだわる企業が多いのですが、当社のPBは必要な機能はしっかりと確保し、それ以外のムダなものはカットするという方針で開発しています。これにより、お客さまに対し、使い勝手がよく、さらにお求めやすい価格で商品を提供することが可能になります。
──ベビーバギー以外にはどのような商品がありますか。
大村 同じく「スマートエンジェル」で出している、「くみあわせマット」もよく売れています。正方形状のポリウレタン素材のやわらかいマットで、組み合わせることで部屋を楽しい雰囲気に演出できる商品です。価格は8枚入りで税込469円です。この3年間、コンスタントに週1.5万~2万セットが売れており、通算販売数は500万セットに上るヒット商品となっています。
衣料や服飾雑貨、寝具などは「エルフィンドール」というブランドで展開しています。そのうち「ストレッチパンツ」は15年に発売した子供向けのズボンです。伸縮性の高い素材を使っているため動きやすく、カラーバリエーションも揃えたことで、お客さまの支持を得ることができ、16年シーズンには100万本を販売しました。
──これまでに開発したPBはどれくらいありますか。
大村 育児用品、衣料、生活関連用品などで約1500品目です。18年2月期の上半期の実績では、PBの売上高構成比が1割弱、粗利益額の構成比では1割超の水準となっています。PBは差別化することができ、利益への貢献度が高い商品です。将来的には、売上高構成比5割まで引き上げることを目標にしています。
標準フォーマットを300坪に、国内1500店舗体制めざす
──今後の出店計画を教えてください。
大村 17年度は最終的に新規50店舗の出店で着地しそうです。閉店は約10店舗、トータルで40店舗の純増となり、年度末の総店舗数は950店ほどになると見込んでいます。18年度は50店舗の純増をめざしており、計画どおりにいけば国内1000店舗を達成することになります。
50店舗の純増を目標にする場合、単に新店50店舗を出す場合と、100店舗をオープンし、50店舗を閉めるのとでは効果が違います。後者が、古いタイプの店舗を閉めたり、競合状況に合わせた対応ができたりするなど、新陳代謝により店舗網の活性化につながります。それを踏まえ、お客さまの利便性に貢献できるような出店を推し進めたいと考えています。