独自の品揃えを追求し差異化「全員参加の経営」で改革進める=平和堂 夏原平和社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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「困りごとも解決します」

──高齢化が進み、思うように買物ができない人が増えています。これに対し、平和堂では会員制の買物代行サービス「ホーム・サポートサービス」を提供しています。利用者の広がりはいかがですか。

夏原 欲しい商品を電話やFAXで受けつけ、1回当たり105円で宅配(一部店舗で1カ月使い放題は525円もあり)するという内容です。10年9月、創業店の彦根銀座店(滋賀県彦根市)でスタート、その後、徐々に実施店を広げ、利用者は増える傾向にあります。具体的には11年2月に「アル・プラザ近江八幡」(同近江八幡市)、同年9月「アル・プラザ長浜」(同長浜市)、13年5月「平和堂あどがわ店」(同高島市)、同年7月「フレンドマート石山寺辺店」(同大津市)と、現在5店まで拡大しています。

──ユニークなのは、日常のちょっとした不便や困りごとを解決するサービスも実施している点ですね。

夏原 高齢になると、日常生活全般で不自由を感じることが多いものです。春に冬用の布団を片付けたり、夏に扇風機を出してきたりと、ちょっとした作業も骨が折れます。単純な作業は無料ですが、庭の雑草抜きや墓掃除といった一定の労力が必要な内容は、1時間1500円で引き受けています。

──低額の料金設定で採算に乗せるのは難しいのではありませんか。

夏原 初期に始めた店では会員も増え、収支とんとんのレベルにはなっています。ただ地域貢献のために始めたものなので、事業として大きく儲ける考えはありません。

 むしろお客さまの家に上がり、直接コミュニケーションすることで得られる情報の価値の大きさを感じています。どのような商品、サービスへのニーズがあるかの声をリアルに把握できますし、それが今後のビジネスのヒントになるかもしれません。

──「お客さまの家に上がる」ことができるのは、滋賀県で圧倒的な信頼を得ている強みですね。競争が激化する中、大きな武器となりそうです。

夏原 滋賀県ではもちろんですが、他府県でも地域密着型の店舗運営を意識しています。今後、そういった低価格以外の戦い方に磨きをかけていきたいと考えています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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