コロナ禍で好調のワークマン・オイシックスから見た「小売の未来」
角井 コロナ禍がもたらしたニューノーマル(新常態)は、EC化を加速させています。自前でラストワンマイルを構築するアマゾンにとってはさらなる追い風となりますが、対アマゾンという視点からの戦術・戦略はどのように考えていますか。
土屋 ワークマンは、すべての商品を5年は売り続けます。とくに作業服は10年保証です。外資の場合、そこまでの商品展開はしませんから、そこがアマゾンへの対抗力になっていると考えています。
また、価格競争でもアマゾンに負けない自信があります。長く売り続ける商品が中心のため、10万個単位で商品を一気に作ることができる。累計では100万単位での生産になるため、さらにコストを下げられます。次に、配送料をかけないことを重視しています。ラストワンマイルを構築しているアマゾンと配送料で勝負をしたら必ず負ける。そのため、ワークマンは注文はEC経由でも、商品は店舗渡しです。今後はEC注文の7割を占めている宅配をやめ、店舗受け取りに集約しようと考えています。もう一つなのが販促費です。アマゾンは知名度抜群で販促費ゼロ。これに対抗するべく、SNS上で情報発信をするアンバサダーを使い、“タダ”で広告をしてもらっています。これが効果をあげてきており、今ではテレビへの番組提供を止めました。価格、配送費、販促費、この3つを10年以内に徹底できれば、アマゾンに対するプロテクトになるのではないでしょうか。