セブン&アイとイオンが先行 カーボンニュートラル社会に向け、リアル店舗“だから”果たせる役割とは
ペットボトル回収も来店動機に?
セブン&アイグループは、店頭で回収したペットボトルを再原料化する完全循環型のペットボトル飲料をPBとして販売しています。回収ボトル数5本ごとに電子マネー「ナナコ」の1ポイントを付与しており、近隣の生活者に回収を促す動機を与えています。19年度は744店で3.6億本相当を回収したといいます。
イオングループのオーガニック専門店ビオセボンも、11月から麻布十番店(東京都港区)と最新の武蔵小杉店(神奈川県川崎市)の店頭にペットボトルの回収機を設置しました。回収したボトルは、インストア調理の総菜用パッケージに生まれ変わります。容器を新たに作るのに比べCO2を3割削減できるといいます。加えて、ボトル1本につき1円を寄付する仕組みになっていて、その寄付先もユニセフ、日本赤十字社、WWFジャパンから選ぶことができます。寄付先を選択できる回収機は国内初の事例だそうです。
資源を回収し、商品パッケージとして再利用する循環を作れるのは、リアル店舗の小売業ならではの強みです。オンラインショップでは、回収拠点を持てません。メーカーにとっても同様です。電子機器のように高付加価値のものなら送付する手もありますが、プラ容器でそんなことはできません。
セブン&アイグループの事例では、自社ポイントを付与して顧客の囲い込みにもつなげていますし、ビオセボンには寄付先を選べるという能動的なアクションを加えることで、協力者の動機を高めようという工夫があります。回収の協力者は必ず店舗まで足を運んでくれるわけで、それを集客効果というのは大げさですが、店舗にとってはメリットです。
いわゆるコロナ禍のニューノーマルとは違う文脈ですが、資源の再利用はこれからの当たり前として社会に定着するほかありません。それが2050年のカーボンニュートラルを目指す国の道すじです。そうした社会で、小売店舗だからこそ担える役割があると思います。