ユニー中興の祖、家田美智雄さんの金言「夜逃げのしやすい店をつくれ」の真意とは
夜逃げのしやすい店舗を作るとはどういうことか?

さて、中を開いてみると、家田さんの素晴らしい言葉が並んでいた。
そこで今回は、懐かしさと流通業界のさらなる発展を願って、「家田ノート」の「家田語録」の一部をアットランダムに再録する。
「いちばん困るのは自分の親方が何を考えているのかわからないことだ。部下に調子のいいことを話して、上司が来たら態度豹変ではいけない」
「PB(プライベートブランド)にはメリットとデメリットがある。メリットは他社で扱っていない商品を扱えること。デメリットは商品に責任を持たなければいけないこと。そのことを認識したうえで導入の可否を決めること」
「自動車のハンドルには“あそび”がある。“あそび”があるから自動車は動く。だから仕事だけではなく遊びなさい」
「四角い部屋を丸く掃いて、掃除した気になるな」
「経費はすべてが悪なのではない。余計な経費は使うな」
「私が欲しいのは社員の辞表かカネ。辞表ORカネだからね。だからもっと働け!」
「店はいつもきれいにしておけよ。せめて俺が行った時くらいはきれいにしておけ。でも、いつ行くかわからないからな!」
「夜逃げのしやすい店舗をつくれ。事前に必ず成功が見込める事業なんてない。だから失敗しても痛手が小さくなるようにコストを極力かけることなく出店すべきだ」
「やってみてだめだったらやめればいい。だからコストはかけない。しかし、やってみることは大事だ」
「大企業病を患う最大の原因は形式主義にある。だからそれを排除すればいい」
「大名行列は平和な時代の産物。戦々恐々とした戦国下剋上の時代にあんなことをしていたら、皆殺しにされてしまう。チェーンストアも一緒でこれまでの時代は平和だった。だから余分な経費や人間を使っても死ぬことはなかった」
「いまユニーで10年先の未来像や希望を語る人間はひとりもいない。それよりも今日明日、長くても1年先の話。いまなくして10年先はないことを社員は理解している」
「YTS(よってたかってやるシステム)。1人の人間が病欠した時にはみなでよってたかってやった方が穴埋めは早くできる。復帰したらまた元に戻せばいい。それが一番よい組織。そして、その組織をつくるためには人間を減らさなければならない」
「組織は肥大化するほど官僚化の弊害が生じやすく、シンプルにするほどメリットも大きくなるもの。その結果、何もかも1人でこなすことになり、個人の仕事能力は確実に高まる」
「リストラの3かく。リストラがステップ・バイ・ステップの改革でリエンジニアリングが抜本的な改革だとするなら、ユニーはリストラに取り組み、1つ1つ改善しなくてはならない。リストラは恥かく、義理かく、情けかく、の3かくと言われ、人間としてはあまりやりたくないが、耐えて忍んでこれを実行する」
家田さんは、その後、ユニーの会長やグループ会社の要職を歴任し、3年前の2017年に旅立たれた。
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