ユニー中興の祖、家田美智雄さんの金言「夜逃げのしやすい店をつくれ」の真意とは

ユニーを短期間で復活させる
誠にもって唐突な話で恐縮だが、『チェーンストアエイジ』誌の記者であった1997年3月1日号で「ユニー家田美智雄社長の 社員を“やる気”にさせる経営」という特集を担当した。先日、資料整理をしていたら、当時の取材ノートが出てきた。
家田さんは、1934年(昭和9年)、愛知県稲沢市生まれ。明治大学政治経済学部を卒業後、西川屋チェンに就職、ドライ部長や人事部長などを務めた。
1977年(昭和52年)に自ら企画書を起こし、食品スーパー企業のユーストアを立ち上げ、高収益企業に育て上げ、長く社長を務めた。
大転換点となったのは、1993年(平成5年)に厳しい経営状況にあった親会社ユニーの社長に就任したことだ。
そこからの疾風迅雷のV字回復策はお見事の一言。人員削減することなくリストラを進め、ユニーを短期間で復活させた。
『チェーンストアエイジ』誌で特集を組んだのは、まさに同社の“中興の祖”としてチェーンストア業界が家田さんに注目していた時期であった。
私は、先輩記者がユーストア時代から懇意にさせていただいていた関係で、ふだん取材を受けない家田さんと社長就任後、半年に一度くらいの頻度でお会いする幸運に恵まれた。
13時のアポイントの5分くらい前に訪ねると、社員や知人と早打ちの囲碁を打っている。「もうすぐ終わるから」と一旦姿を現し、投了後には即座にお越しいただき歓談が始まるというのがひとつの流れだった。
ただ、あくまでも「取材ではない」という前提でお伺いしているので、先輩記者から「テープレコーダーを回すな」と釘を刺された。
だから面会する90分くらいはこれ以上ないほどに緊張しながら集中してお話をうかがい、帰路のタクシー内で必死に思い出しメモを取ったものだ。
「家田ノート」は、その時のメモを積み重ねていったものである。
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