彷徨うコンビニエピローグ アフターコロナの“見えざる敵”とは?

森田 俊一
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コロナショックで注目を集めているのは……

 東日本大震災時のコンビニのように、今回のコロナショックをきっかけに価値を再発見されているのがドラッグストアとECだ。

 コロナショックを受け、マスクや消毒アルコールを求める客が急増し、毎朝開店前から店先に行列ができる光景が、ドラッグストアの日常となっている。

 ドラッグストア大手の3月の既存店客数は対前年同月比10~20%増と、東日本大震災当時のコンビニを彷彿させる勢いで伸長している。

 ふだんドラッグストアを使っていなかった消費者が来店し、豊富な品揃えを目の当たりにしていることだろう。アフターコロナでは、従来はコンビニとスーパーしか行かなかった層が、買物のローテーションにドラッグストアを加えることになるとみられる。

コンビニが対峙する“見えざる敵”

 他方、EC、とくにネットスーパーもその利便性によって注目を集めている。感染がリスク高い店舗に行かなくて済むためだ。

 現在、各ネットスーパーサービスに注文が殺到している。平常時は当日あるいは翌日配送という体制だったが、最近は5~6日後に配送というケースもザラだ。

 今回のコロナショックを契機に、実際にネットスーパーを利用し、商品の確かさや品揃えの豊富さを再認識することで、「商品を手に取って見ることができないから」という理由で敬遠していた消費者が、従来の買物パターンを変える可能性も十分に考えられる。

 ただ、ドラッグストアもネットスーパーへの再注目も、一つの事象に過ぎない。コンビニが対峙しなければならないのは、消費者心理、そして購買行動の「変化」だ。この“見えざる敵”との戦いに勝てなければ、成長を描くのは難しい。

 これまでのコンビニは「お店が身近にある」という利便性が最大の強みだった。しかし、ドラッグストアの小商圏化が進み、ネットスーパーが拡大していけば、その優位性は希薄化しかねない。そうなったときにコンビニの武器となりえるのは、商品か、サービスか、それとも別の「新しい何か」か。「近くて便利」で続いてきたコンビニモデルを見直す必要があるのかもしれない。

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