AIとビッグデータでサプライチェーンを最適化!物流ベンチャーHacobuとライナロジクスが業務提携

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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2社の提携で物流業務の効率アップをめざす

 業務提携後の取り組みの第1弾として、前述したHacobuのムーボバースとライナロジクスのライナクラウドをAPI連携させる。ムーボバースはトラックバースの予約や物流施設における入退場受付をオンライン上で管理する仕組みで、ドライバーの長時間待機や物流拠点の庫内作業の非効率性といった課題の解決を手助けする。ライナクラウドは、配送オーダーを入力するだけで必要な車両台数を素早く見積もり、各車両の配送ルートの自動作成が可能となるクラウド型のシステムで、配車業務の効率化や輸送時間の最適化に役立つ。

2社のアプリをAPI連携することで、配送業務や庫内作業の効率が飛躍的に高まる見込みだ
2社のアプリをAPI連携することで、配送業務や庫内作業の効率が飛躍的に高まる見込みだ

 両システムのAPI連携により、ライナクラウドでの配送計画作成時に物流施設のバース空き状況の照会や、バースの予約確定後に自動で配送計画への反映が可能になるなど、バース状況を考慮した配送計画の作成がワンストップで実現するため、配送業務や庫内作業の効率が飛躍的に高まることを見込んでいる。両システムの連携は20年内に実現する予定だ。「自社のシステムだけでは、納品先での滞在時間が予想しづらい場合もあったが、ライナクラウドとの連携で滞在時間の削減や車両の効率的な利用が可能となる」(Hacobu佐々木社長)。

物流業界の「合成の誤謬」をデータで解消

 「物流業界では、各社の業務効率化の取り組みが他社にとってもメリットを与えるわけではなく、サプライチェーン全体の効率化を妨げる『合成の誤謬(ごびゅう)』が多く発生している」と佐々木社長は話す。たとえば、運送業者からすれば一度にたくさんの商品を積んだほうが積載率が高くなるが、小売店が在庫を多く持つと廃棄率が高まる可能性がある。このような合成の誤謬を解消すべく、Hacobuは個社ではなくサプライチェーン全体の最適化をめざしさまざまなデータを集め、ライナロジクスのような他社が開発したアプリとの連携にも乗り出している。

 小売業にとって物流は切っても切れない関係である。AIやビッグデータなどを活用した物流ベンチャーの取り組みが、小売業界の課題の1つでもある物流費の削減につながれば、小売業も大きなメリットを享受することができるだろう。そのためには小売各社もサプライチェーン全体の最適化のため、他社との連携が必要なのではないだろうか。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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